2005 Fiscal Year Annual Research Report
1分子蛍光観察用の究極感度カメラ開発による細胞膜ナノドメインの機能の解明
Project/Area Number |
16201025
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
楠見 明弘 京都大学, 再生医科学研究所, 教授 (50169992)
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Keywords | 1分子観察 / 1分子ナノバイオロジー / ナノドメイン / 細胞膜 / 蛍光顕微鏡 |
Research Abstract |
本研究の目的は、(1)まず、生細胞中で、1蛍光分子追跡をするための、究極感度のカメラシステムを開発すること、(2)次に、このカメラシステムを用いて、ナノラフトの生成機構、及び、構造-機能相関の解明を進めることである。細胞膜のナノラフトの研究は、ナノバイオロジーの重要なパラダイムであり、他のナノバイオロジー研究を進める上での指針を与える重要な結果を得ることを目標とする。究極感度のカメラシステムを用いることによって、ナノラフトの研究を推進し、ナノラフトのシグナル伝達プラットフォームとしての作動機構を1分子レベルで解明したい。本年度は、これらの生物学的応用研究に対応するため、カメラめ読み出し部分として、高速カメラを購入した。 ナノラフトに関しては、本年は、以下の研究をおこない、新しい知見を得た。 (1)ナノラフトのシステム可塑性、シグナル特異性の検討を進めた。CD59などのGPIアンカー型受容体とラフトに関与する膜貫通型タンパク質について研究した。その結果、両者ともシグナル伝達ラフトを誘起すること、さらに、ナノラフト上で、シグナルのクロストークが起こることがわかってきた。 (2)ラフトの脂質鎖による、表側ラフトと裏側ラフトのカップリングを検討した。細胞膜外層に安定化ラフトができると、内層にも安定化ラフトが誘導される現象を見いだし、それに、脂質間相互作用が寄与しでいることがわかった。 (3)コレステロールの可視化による、ラフト可視化をおこなった。全てのラフトに存在すると考えられる唯一の分子はコレステロールである。細胞膜上でコレステロールを可視化・定量化する方法はなく、ラフト研究のみならず医学上の大きな問題になっていた。この方法を開発し、ラフトの可視化法の開発を進めている。コレステロールの1分子感度での観察によって、全てのラフトを可視化する技術ができつつある。
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Research Products
(3 results)