2006 Fiscal Year Annual Research Report
金属原子内包シリコンクラスターの原子数制御合成に基づく界面ナノ構造形成
Project/Area Number |
16201026
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
金山 敏彦 独立行政法人産業技術総合研究所, 次世代半導体研究センター, 副研究センター長 (70356799)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
多田 哲也 独立行政法人産業技術総合研究所, 次世代半導体研究センター, 主任研究員 (40188248)
宮崎 剛英 独立行政法人産業技術総合研究所, 計算科学研究部門, 主任研究員 (10212242)
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Keywords | 表面・界面物性 / 原子分子処理 / 走査プローブ顕微鏡 / ナノ材料 / 電子・電気材料 |
Research Abstract |
クラスター形成のためのイオントラップの改良と、遷移金属原子Mを内包するSiクラスターMSi12を単位構造とする表面構造および薄膜の理論的解析と形成実験を平行して進め、次の成果を得た。 1.これまで、組成を制御したクラスター形成の目的に、4重極電極の周りを篭状電極で取り囲んだイオントラップを用いていた。4重極に替えて、36本の柱状電極を正方格子状に配列した多重極電極を用いることにより、SinHxクラスターイオン(n=4〜6)の収量を10倍以上に向上させた。 2.昨年度までに、Si(111)7×7表面上にMoを低被覆率で付着させシランガスに暴露することにより、Mo原子とシラン分子の反応を生じさせて一定の大きさのMoSinクラスターを形成することに成功している。走査トンネル顕微鏡(STM)およびX線光電子分光による解析を進め、形成されたMoSinクラスターはエネルギーギャップを有する半導体で、STM像と第一原理計算との比較により、n=6であることを明らかにした。 3.第一原理計算により、6角柱構造のMSi12クラスターを平面上に配列すると、層状半導体を形成できることを見出した。バンドギャップは中心金属Mの金属種により異なるが、MoやZrの場合には、有限なギャップを持つ半導体となる。この層状半導体は、Si原子が6方格子状に並んだシート2枚を、間に入った遷移原子層が結合することで安定化しており、Mの原子種により、構造を保ったまま、半導体から金属まで電子状態をチューニングできる特徴を有している。 4.シランガス雰囲気中でMo原子をレーザアブレーションする方法で、MoSin(n>10)組成の薄膜の形成に成功した。この物質は、MoSinクラスターを単位構造とする薄膜であると考えているが、電気伝導度およびその温度変化の測定により、半導体であることを明らかにした。
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Research Products
(4 results)