2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16203007
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
布井 千博 一橋大学, 大学院・国際企業戦略研究科, 教授 (70180685)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村上 政博 一橋大学, 大学院・国際企業戦略研究科, 教授 (80229971)
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Keywords | 北米自由貿易協定 / 南米南部共同市場 / NAFTA / メルコスール / WTO / 合併規制 / 競争法 / 知的財産法 |
Research Abstract |
2005年9月14日から10月2日まで、米国(ワシントンDC)、ブラジル(リオデジャネイロ・ブラジリア)、メキシコ(メキシコシティー)において、南北アメリカ大陸地域におけるFTAと法制調和の状況につき、実地調査を行った。調査対象としたのは、北米自由貿易協定(NAFTA)とメルコスール(MERCOSUR・南米南部共同市場)である。今回の調査では、主として、競争法および知的財産法に焦点を当てた。 競争法分野においては、米国・メキシコ間の競争法適用に関する協定は、とくに企業合併の分野において有効に機能している。その背景には、NAFTAを通じた市場統合の流れがあり、関連市場の定義をNAFTA全域とする場合もあることが判明した。他方、域内の経済連携が停滞しているメルコスールに属するブラジルにおいては、他の中進国であるアルゼンチンとの競争法適用に関する協定さえも、活発に利用されていない。むしろ、米国との関係において、合併審査制度の大幅な変更が検討されている。 知的財産法分野においては、WTO加盟国についてはTRIPS協定の遵守が義務づけられているために、メキシコおよびブラジルの双方ともに、TRIPS協定の水準を超える保護をFTAにおいて合意することには慎重な立場を示す。ブラジル、メキシコ双方とも、調査において面談した関係当局の責任者は、米国が関心を持っている特許保護期間延長・調整のようなTRIPS協定プラスの規定をFTAにおいて設け、これを国際的な義務とすることには、反対であることを明確に表明している。 今回の調査では、共同市場の形成を目標とするメルコスールが十分に機能しておらず、この地域における法制調和にもほとんど寄与していない実情が明らかになった。事実上の経済関係の深化がなければ、経済連携協定を締結しただけでは不十分であることが明確になった。
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Research Products
(3 results)