2006 Fiscal Year Annual Research Report
対人関係の基盤としての「身体接触」に関する生涯発達行動学的検討
Project/Area Number |
16203035
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
根ケ山 光一 早稲田大学, 人間科学学術院, 教授 (00112003)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大藪 泰 早稲田大学, 文学学術院, 教授 (30133474)
菅野 純 早稲田大学, 人間科学学術院, 教授 (80195180)
山口 創 聖徳大学, 人文学部, 講師 (20288054)
川野 健治 国立精神, 神経研究所, 研究室長 (20288046)
河原 紀子 早稲田大学, 人間科学学術院, 助手 (90367087)
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Keywords | 身体接触 / 生涯発達 / 母子関係 / 遊び / 文化比較 / 臨床 / 性 / 介護 |
Research Abstract |
まず、妊娠期の身体接触としての胎動のオノマトペ分析から、その変化が妊婦が胎動を胎児の動きと意味づける契機となっていたが、それは胎児からの発信に応じて生じることが見いだされた。母子の自由遊び場面で出現した抱き場面と非抱き場面での子どもの共同注意時間と比較した結果、母親の誘導によって生じる子どもの共同注意は、抱きによって促進される可能性を示唆するデータが得られた。また同じく抱きについて、抱きにくさにつながる母親の感情や母子行動の特徴とその発達が分析された。また保育園・家庭でおむつ・パンツ交換時の親子のやり取りにおける子どもと保育者の間で行われる対立と調整について分析を行った。親子間「スキンシップ」の発達的変化について、乳児期から青年期までの親子間に見られる減少と、それにもかかわらず残存し続ける身体接触が明らかにされた。青年期の接触について実験的に検討がなされ、能動的接触よりも受動的接触において不安が軽減されることが分かった。 また、自閉症幼児におけるくすぐり遊びが彼らの対人関係の発達を反映するだけでなく導くこと、被虐待児への身体接触が療育に効果を持つが、そこにはそれまでの生育歴が反映されること、特別養護老人ホームにおける高齢者と介護型ロボットの身体接触とその効果など、臨床領域からの検討も加えられた。 さらに、子どもと養育者(とくに母親)との身体接触及びそれに伴う発話の発達的変化とその内容、および保育園児の身体接触を介した仲直り方略について日英間で比較検討し、その文化的差違と類似性が指摘された。 そして、それらの成果をつなげることによって、身体接触が生涯発達全般にわたって重要な行動であり、また発達ととともにその内容が推移することが明らかにされた。
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Research Products
(18 results)