2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16203038
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
渡辺 茂 慶應義塾大学, 文学部, 教授 (30051907)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
梅田 聡 慶應義塾大学, 文学部, 助手 (90317272)
岡市 広成 同志社大学, 文学部, 教授 (40066288)
坂田 省吾 広島大学, 総合科学部, 助教授 (50153888)
三村 將 昭和大学, 医学部, 助教授 (00190728)
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Keywords | 海馬 / 空間認知 / 時間認知 / ラット / 脳損傷 |
Research Abstract |
今年度は、主として当該研究実行のための研究環境の充実と研究者間の役割についての確認を行った。備品として購入したManipulatorは海馬損傷のためのものであり、エレクトロフリーズは凍結切片作成のためのものである。これ以外に空間情報と時間情報の統合を調べるためにハト飼育装置に人工太陽を設置するこころみを行い、時間、空間どちらも一定に行動を統制しているという予備的なデータを得た。また、ハトを用いて空間学習による脳活性部位をサイトクローム酸化酵素の可視化により測定することにも着手した。国外研究協力者との共同研究では従来の空間学習ではなくパターン学習におよぼす海馬損傷の効果を検討した。ラットにおいては神経発生による検討の方法が確立し、初期遺伝子発現による研究成果も上げられた。また時間行動についてはpeak法による時間認知の測定が適切な方法であるという結果を得た。さらに、ヒトについては以前の科研費で開発した指迷路をさらに改良し、側頭葉損傷の患者での手術前後での空間学習機能を測定し、右側損傷により、空間学習機能が低下するという結果を得た。 さらに、神経心理学的アプローチによる研究としては、海馬を中心とした側頭葉内側部損傷患者、海馬に萎縮を認める中軽度認知症患者、前頭葉損傷患者、コルサコフ症候群患者、前脳基底部損傷患者を対象とした実験を行った。用いた課題は、時間評価課題のバリエーション、および時間知覚に関する基礎的な課題である。これらの実験から、記憶障害の程度が重篤な健忘症患者においては、時間認知が過小評価となる傾向が強く、記憶と時間認知が深く関与していること、および側頭葉を中心とした部位が時間認知に深く関与することなどが明らかになった。さらに、この点を深く検討するために、外部にペースを持たせることを目的とした動画刺激を作成し、外部からさまざまなペースの刺激を知覚することが時間評価にどのような影響を及ぼすのかを調べる2つの実験を考案し、予備実験を行った。 これらの研究をもとに広島大学で1回目の研究集会を行い、班員以外の講師も招待して今後の海馬研究の方向について積極的な討論を行った。
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Research Products
(6 results)