2005 Fiscal Year Annual Research Report
ニュートリノ振動パラメータθ13角の測定のための原子炉ニュートリノ検出装置の開発
Project/Area Number |
16204015
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
末包 文彦 東北大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (10196678)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井上 邦雄 東北大学, 大学院・理学研究科, 教授 (10242166)
住吉 孝行 首都大学東京, 都市教養学部, 教授 (30154628)
田村 詔生 新潟大学, 大学院・自然科学研究科, 教授 (00025462)
久世 正弘 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 助教授 (00225153)
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Keywords | ニュートリノ / ニュートリノ振動 / 原子炉 / 液体シンチレーター / KASKA |
Research Abstract |
本年度は昨年度実施したニュートリノ観測地でのボーリング調査により取得した地中での宇宙線とγ線のデータの解析とまとめを行った。その結果、実際に検出器を設置する予定の場所の地下での環境放射線と宇宙線を、深さの関数として定量的に知ることができ、開発しているシミュレーションに基礎データとして組み込んだ。さらにこのシミュレーションを利用し、実際の実験環境でのバックグラウンドレベルの評価を行った。その結果、土からのγ線バックグラウンドは現在の検出器デザインのシールド構造で十分あることが判明した。一方、地下での宇宙線頻度に関しては、予想より多いという結果を得た。この理由は、ボーリング地点が丘の上にあるため、斜面が近くにあり、有効な深さが平な地面を仮定した場合よりも浅くなる効果であろうと思われる。今後の実験装置のデザインでは、立坑の深さに関して再検討を行う。これらの結果については、2005年春の物理学会で2件発表し、2005年度の修士論文2編がこのテーマで首都大学と東工大の学生で書かれた。 昨年より製作していたプロトタイプ検出器を完成し、データの収集と解析を行った。900リットルの液体シンチレーターに7リットルのガドリニウム入り液体シンチレーターの入ったアクリル容器を沈め、Am/Be放射線ソースにより擬似ニュートリノ信号の取得に成功した。ソースが発生する4.4MeVのγ線とそれから平均30μs後に生じるガドリニウムによる中性子吸収の信号が、遅延同時計測により明確に確認された。これにより現在の検出器デザインでニュートリノが有効に捕らえることの確認を行うことができた。さらにガドリニウム信号のスペクトルを測定することができたため、現在は、ガドリニウムが発生するγ線のエネルギー分布の確認を行い、シミューレーションに組み込み、検出器パラメータなどの最適化及び系統誤差の評価に利用する。これらの結果は2005年の春、秋の学会で発表された、又2006年の春の学会で発表する予定である。 その他、中口径光電子増倍管のテストを行い。実際の実験では10インチの光電子増倍管を使用することに決定した。また、液体シンチレーターの長期安定性のテスト、フロントエンドエレクトロニクスの開発、ワイヤーを利用した装置校正装置の開発なども行った。国際ワークショップでは、3件の発表を行った。 これらの成果を元にして、3月末には原子炉ニュートリノによるθ13測定実験の正式なプロポーザル(Letter of Intent)を脱稿し、出版する。 又、12月9日には、新潟で、原子炉ニュートリノの国際ワークショップを共催し、成果の発表と外国との情報の交換を行った。
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Research Products
(2 results)