2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16204020
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
武田 三男 信州大学, 理学部, 教授 (20115653)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
本田 勝也 信州大学, 理学部, 教授 (50109302)
天児 寧 信州大学, 理学部, 助教授 (90222679)
宮本 欽生 大阪大学, 接合科学研究所, 教授 (60107084)
桐原 聡秀 大阪大学, 接合科学研究所, 助教授 (40362587)
迫田 和彰 物質・材料研究機構, ナノマテリアル研究所, 主席研究員 (90250513)
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Keywords | フラクタル / 自己相似性 / 電磁波の局在 / フォトニック結晶 / メンジャースポンジ / テラヘルツ時間領域分光法 / カントールバー / テラヘルツパラメトリック発振 |
Research Abstract |
自己相似性を有する三次元フラクタル構造体であるメンジャースポンジを誘電体及び金属を用いて作製し、テラヘルツ時間領域分光法により、透過率、反射率及び直角散乱スペクトルを測定した。外形サイズ9mmで、ステージ2のサンプルにおいて、局在モードに対応すると考えられる透過率の極小及び直角散乱スペクトルの極大をそれぞれ見出した。金属サンプルにおけるその特性波長は二番目の正方形エアロッドの遮断周波数に一致し、マジックティー効果で直角方向に伝播してゆくものと考えられる。現在、反射率測定のより高精度の測定システムを改良中である。 フラクタル構造体中の局在モードの電磁場の空間振動パターンを確認するために、カントールバー型一次元フタクタル構造を持つマイクロストリップラインを作製した。ステージ数は1〜4である。また、比較のために周期構造を有するフォトニック結晶に欠陥構造を挿入したラインと、カントールバーと欠陥フォトニック結晶との中間構造のラインも作製した。ネットワークアナライザーにより透過及び反射の振幅と位相スペクトルを測定した。ステージ数3及び4においてフォトニックギャップ領域に局在モードに対応する鋭い透過ピークが見いだされた。モーメント法による数値解析を用いて、これらのピーク振動数のモードの電流空間分布を求めた。カントールバー中の局在モードは中央の幅の広いラインに整数の節を持つモードであるが、フォトニック結晶の欠陥モードのように欠陥領域に強く局在しているのではなくむしろカントールバー全体に少し広がったフォトニック結晶のバンド端モードに近い振動パターンを持つことが分かった。 一方、理論解析としてはフラクタルにおける電磁波の局在を理論的に理解する第一歩として、最も単純なカントール集合を考察し、これまで得られなかった任意のステージのカントール集合に対する遷移行列の厳密な表式を得た。これを用いて具体的に透過率などの物理量を正確に求めた。数値計算をした結果、ステージ数を上げるにしたがって周期的な周波数において透過率に鋭いディップが生じることを見出した。この予想外に事実は、実験で測定されている透過率の鋭い減衰に対応しているものと考えられる。 また、テラヘルツパラメトリック発信分光システムを購入しフラクタル構造体によるテラヘルツ波の非線形光学効果の制御のためのシステムを構築中である。
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