2004 Fiscal Year Annual Research Report
ナノ構造に閉じこめたヘリウムが示す新しい量子現象の研究
Project/Area Number |
16204028
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
白濱 圭也 慶應義塾大学, 理工学部, 助教授 (70251486)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 勝 電気通信大学, 電気通信学部, 教授 (20196869)
柴山 義行 慶應義塾大学, 理工学部, 助手 (20327688)
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Keywords | ヘリウム / 超流動 / 量子相転移 / ボース粒子系 / 量子液体 / 量子固体 |
Research Abstract |
本研究は、ナノ多孔体構造に強く閉じこめたヘリウム(^4He)が示す特異な量子多体現象を多様な実験により明らかにし、新しい「強相関ボース粒子系」の量子物理学を開拓・追求するものである。 これまでに研究は順調に進んでいる。本年度の研究実績は以下の通りである。 1)孔径2.5nmのナノ多孔質ガラスに閉じこめた4Heの定積圧力測定を行い、固体液体転移線を確定して圧力温度相図の全容を解明した。その結果、超流動相と固体(結晶)相の間に、超流動でも固体でもない低エントロピーの状態が存在することを明らかにした。この状態は、閉じこめられた^4Heが細孔サイズのスケールでローカルにボース・アインシュタイン凝縮(BEC)を起こした状態であるという解釈を提案している。このローカルBECの実体はボース・ババード模型などで理論的に提唱されている「ボース・グラス」状態である可能性がある。現在更に高精度での相図決定を試みている。 2)超高感度・超低振幅の連続波型超音波測定法を開発し、上記ナノ多孔質ガラス中^4Heの超流動特性の測定を開始した。測定は現在も進行中であるが、これまでの音速測定から得られる超流動密度の温度依存性が、ねじれ振り子法による結果と異なることが明らかになった。これは測定周波数の違いによるものと推測され、現在理論的な考察を進めている。またこの方法で、最近関心を呼んでいる「超流動固体」状態の探索を行っている。 3)比熱・圧力を同時に測定可能なセルの製作を行った。同時に本科研費で購入した希釈冷凍機での予備実験を終え、今後本格的な実験を行う。 4)上記の研究が順調に進んでいるので、平成17年度の研究計画を前倒しして、周期的多孔構造を持つ結晶性ナノ多孔体を用いた実験の準備を行った。孔径2.9nmの規則正しい3次元細孔ネットワークをもつHMM-3に対し、超流動特性・圧力測定を進めていく。
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Research Products
(3 results)