2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16204031
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
|
Research Institution | National Institute of Informatics |
Principal Investigator |
山本 喜久 情報・システム研究機構 国立情報学研究所, 情報学基礎研究系, 教授 (60370102)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
根本 香絵 情報・システム研究機構 国立情報学研究所, 情報学基礎研究系, 助教授 (80370104)
松本 啓史 情報・システム研究機構 国立情報学研究所, 情報学基礎研究系, 助教授 (60272390)
|
Keywords | 量子計算 / ユニバーサリティ / 光学非線形性 / 電磁誘導透過 / 半導体 |
Research Abstract |
光を用いた量子情報処理では非線形性が大変弱いことが大きな困難となっていたが、2000年の線形光学量子情報処理の方法によって、非線形性を用いずに計算の高速化が期待できるユニバーサルな量子計算の方法が示された。この方法は非線形性を用いないという点で画期的であったが、その後の膨大な研究努力によって、その実現化が極めて困難であることが認識されつつある。本研究ではまず、線形光学量子計算の方法に変わる新しい光を用いた量子計算のスキームとして、最近になって到達可能になった弱いが損失の極めて少ない非線形性を用いた新しいユニバーサルな量子計算の方法を構成した。また、この方法によって、原理的には極小の非線形性であってもスケーラビリティに飛躍向上をあたえることを証明した。さらに、この量子計算の方法を元に、ユニバーサリティに対する物理的要請を探った。このユニバーサリティに対するアプローチは、これまでのゲート構成から考える情報論的なアプローチとは大きくことなり、新しいユニバーサリティの指標になる。また、この方法は物理的な要請に着目することによって、量子ビットなどの情報単位に縛られないユニバーサルな量子計算に対する物理的に条件が求められた。 損失の極めて少ない光非線形の実現手段として、半導体(GaAs)中のドナー不純物に束縛された電子のゼーマン2準位を基底状態、ドナー不純物に束縛された励起子(エキシトン)を励起状態とするラムダ構造を用いた電磁誘導透過(EIT)を検討した。ドナー不純物濃度が10^13(cm^-3)程度の高純度GaAsにおいて、初めてEIT現象を観測することに成功した。これは、半導体中の真の基底状態を用いたEIT実験として初めてのものである。ドナー不純物に束縛された電子と励起子は全ての半導体に存在するので、この実験結果は非線形性の強い半導体を用いたEITが可能であることを示した重要な結果である。
|
Research Products
(6 results)