2005 Fiscal Year Annual Research Report
スペクトル要素法による理論地震記録を用いた地球中心核の構造の推定
Project/Area Number |
16204035
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Research Institution | Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology |
Principal Investigator |
坪井 誠司 独立行政法人海洋研究開発機構, 地球内部変動研究センター, プログラムディレクター (90183871)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
東野 陽子 独立行政法人海洋研究開発機構, 地球内部変動研究センター, 研究員 (90359183)
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Keywords | 理論地震波形計算 / 地球内部構造 / 地球シミュレータ / スペクトル要素法 / 地球中心核 / 広帯域地震波形 / 大規模数値計算 |
Research Abstract |
今年度は、Butler(1998)が示した1997年11月3日にチリで起きた地震(Mw=6.2)に対するCDSNの観測点ENH(Enshi)に表れている特徴的な地震波について議論した。この観測点は、震央距離179.4度と極めて対蹠点に近く、またこの地震は、マグニチュード6.2という規模であるために、その記録にはPKIKPやPKIIKPなどが明瞭に観測されているので、この波形を現実的な3次元地球モデルでどこまで再現できるかを理論波形計算により試みることにした。スペクトル要素法による理論波形計算では、地球を細かいブロックに分けて、さらに格子点に分割する。その際に地球の中心には小さなブロックを配置するので、地球の中心が特異点になることがない。そのために、対蹠点における地震波形のように地球の中心を通過する波も正確に計算することが出来る。ここでは、これまで地球シミュレータを用いて理論地震波形記録を計算してきたものと同じモデルパラメタにより、周期5秒の精度でENHにおける理論地震波形記録を計算した。その結果、PKIKP、PKP(AB)などは観測波形と良い一致が見られた。それに対しPKIIKPは走時、振幅ともに理論波形と一致しなかった。用いた地球モデルは、マントルに3次元速度構造、地殻構造を取り入れているため、PKIIKPの観測波形との不一致は、CMBにおける不均質構造や内核の異方性、内核の速度構造不均質などに起因するのではないかと予測される。一方、Butlerが報告した内核表面を伝わるとされる波は理論波形には現れなかった。さらに、PKIIKP及びpPKIIKPの振幅が観測波形よりも顕著に小さくなることが分かった。これらの波は、内核側の内核-外核境界で反射することから、そこでのインピーダンス比に変更が必要であることが分かった。
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Research Products
(3 results)