2004 Fiscal Year Annual Research Report
海水中の硫化ジメチル生成、大気への放出、洋上硫酸エアロゾル形成に至る過程の解明
Project/Area Number |
16204044
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
植松 光夫 東京大学, 海洋研究所, 助教授 (60203478)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
津田 敦 東京大学, 海洋研究所, 助教授 (80217314)
橋本 伸哉 静岡県立大学, 環境科学研究所, 助教授 (10228413)
永尾 一平 名古屋大学, 大学院・環境学研究科, 助手 (00252297)
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Keywords | 硫化ジメチル / 硫酸塩粒子 / エアロゾル / 海洋生物起源気体 / 海洋大気 / 珪藻 / MSA / DMS |
Research Abstract |
白鳳丸航海KHO4-3次(SEEDS II : Subarctic Pacific Iron Experiment for Ecosystem Dynamics Study)航海において、北太平洋亜寒帯域、北緯48度、東経166度の海域に鉄を散布し、30日間にわたって、栄養塩濃度の変化、それに伴う動植物プランクトンの増減を測定した(津田)。同時に大気中と海水中のDMS濃度を同時測定した(橋本)。また、米国ハワイ大学のR/V Kilo Moanaにも日本から研究者が乗船し、大気中と海水中のDMS濃度を測定した(永尾)。大気中の二酸化硫黄濃度、オゾン濃度、ナノパーティクル濃度、硫酸エアロゾル濃度を同時測定し、海洋植物プランクトンとクロロフィル、DMS、大気中の微小粒子増加があるかどうか、この海域に多発する海霧との相互作用についても、連続計測を行った(植松)。 鉄散布海域のin-patchおよびout-patchで海水中のDMSは鉄散布から約8日後に、DMSPは12日後にin-patchで濃度の増加が見られた。一方、クロロメタン、ブロモメタン、ジメチルジサルファイドやイソプレンは、in-patchで後半において増加したがその時期が異なり、一部の植物プランクトンもしくはその他の生物によって特異的に生成・分解されることが示唆された。 大気へのDMSの放出量をバルク法により計算し、撒布域と周辺域で比較した結果、それぞれ23.1μmol/m^2/day、11.0μmol/m^2/dayであり、撒布域では約2倍の放出量が計算された。ただし、この差には風速の影響が含まれており、撒布域でDMS濃度を測定したときの風速は12.0m/sで、周辺域の風速9.2m/sに比べて強かったことも影響している。 エアロゾルについてはin-patchとout-patchの違いは見られなかったが、亜寒帯海域全体での濃度変動が大きく、海洋生物起源エアロゾルの前駆体の放出源として重要であることが考えられる。 DMSの海洋から大気への放出量を求めるため、乱流によるDMSの鉛直輸送量を直接、渦相関法で求めるための高速測定装置の構築を開始した。DMSとF_2の反応による化学蛍光を光電子増倍管によるフォトンカウンティング法を用いて測定するものである。現在は流路の構築、信号検出部のテストを行っている。
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Research Products
(11 results)