2005 Fiscal Year Annual Research Report
海水中の硫化ジメチル生成、大気への放出、洋上硫酸エアロゾル形成に至る過程の解明
Project/Area Number |
16204044
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
植松 光夫 東京大学, 海洋研究所, 教授 (60203478)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
津田 敦 東京大学, 海洋研究所, 助教授 (80217314)
橋本 伸哉 静岡県立大学, 環境科学研究所, 助教授 (10228413)
永尾 一平 名古屋大学, 大学院環境学研究科, 助手 (00252297)
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Keywords | 硫化ジメチル / 硫酸塩粒子 / エアロゾル / 海洋生物起源気体 / 海洋大気 / 植物プランクトン |
Research Abstract |
1.本年度研究航海の実施報告 淡青丸KT05-14次航海(6月24日-28日)において、黒潮続流域での生物生産の高い海域で渦拡散法での船上測定に必要な船体動揺の影響を加速度計、傾斜計などで補正する検討を行った。また海水懸濁粒子の試料採取を行った。DMSの鉛直フラックスを渦相関法により測定するため、高速でDMS濃度を測定する装置の試験運用を上部甲板において行った。検出限界や感度が不十分であったことまた、船などが原因と思われるノイズの影響を受けるなど、今後の実用化に向けて改善すべき問題点を知ることができた(植松・永尾)。 白鳳丸KH05-2次航海(8月8日-9月22日)において、北太平洋中央部、南緯10度から北緯53度まで西経160度線に沿って北上し、海洋大気中の気体とエアロゾル成分を連続測定し、同時に海水懸濁粒子を採取した。フォアマスト最先端で渦相関法による粒子フラックスのテスト測定を試みた。亜寒帯海域に発生する海霧の粒径別試料採取を行ったが、顕著な霧の発生がなかった(植松)。 2.鉄撒布実験(SEEDS-II)の測定データの解析について 2004年度の夏季に実施された北部北太平洋のHNLC海域での鉄撒布実験において連続的に測定した海水と大気のDMS濃度データの解析を進めた。海洋への鉄散布後に、植物プランクトンの増加が見られたが、同様にDMSP濃度も対照海域に対して散布海域で約2倍に増加した。一般にDMSはDMSPから生成することが知られており、鉄散布海域でのDMSP濃度の増加は、鉄散布が海洋から大気へのDMS発生量の増加をもたらすことを示唆している。しかし、海水中のDMS濃度は鉄撒布域とその周辺域において有意な差は見られなかった。この結果は、これまで北太平洋で実施された鉄撒布実験の結果と類似したものであり、他のHNLC海域である赤道太平洋や南大洋におけるDMSの応答とは大きく異なる点であった(植松・永尾・橋本・津田)。
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Research Products
(7 results)