2005 Fiscal Year Annual Research Report
連続フロー質量分析法を用いた溶存気体の濃度・同位体比同時測定とその海洋学への応用
Project/Area Number |
16204045
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
蒲生 俊敬 東京大学, 海洋研究所, 教授 (70143550)
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Keywords | 海洋科学 / 地球化学 / 海洋探査 / 溶存気体 / 安定同位体比 |
Research Abstract |
本研究初年度(平成16年度)に導入したガスフロー型同位体質量分析装置(GF-IRMS)の調整を進めるとともに,同装置による海洋学的研究を本格的に開始した。分析ターゲットとして海水中の溶存気体,特に溶存酸素に着目した。溶存酸素の酸素同位体比(δ^<17>O,δ^<18>O)は,大気-海洋間の気体交換と海洋内での生物過程(光合成と有機物分解)を反映して変化することが予想され,海水混合の有用なトレーサーとなることが期待される。そこで,簡便に同位体計測を行なうための真空ラインをGF-IRMSにオンライン接続し,海水約200mLに含まれる溶存酸素を船上で抽出して持ち帰り,同位体計測を行なうシステムを完成した。現在の測定精度は,δ^<17>O値について0.32‰,δ^<18>Oについて0.12‰である。淡青丸KH-05-11航海(平成17年5月16日〜5月26日)を利用して,日本海の海水を表面から海底直上まで各層採取し,その中に含まれる溶存酸素の酸素同位体を計測した。表層水のδ^<18>Oは大気平衡値+24.3‰より1.4‰軽い値を示し,光合成由来の同位体比の低い酸素が付加されていることを示した。また,混合層以深については,溶存酸素濃度の減少とともにδ^<18>O値は増加し,酸素消費に伴う同位体分別を示した。同様の観測と試料採取を,中部北太平洋においても白鳳丸KH-05-2航海(8月8日〜9月21日)を利用して実施した。一方,溶存水素ガスの安定同位体比測定についても,試料導入ラインの製作と標準ガスの測定テストを行なった。南海トラフ冷湧水域,マリアナトラフ海底熱水域,およびインド洋中央海嶺熱水域において熱水または堆積物間隙水を採取し,測定に着手した。
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Research Products
(6 results)
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[Journal Article] A global survey of perfluorinated acids in oceans.2005
Author(s)
Yamashita, N., Kannan, K., Taniyasu, S., Horii, Y., Petrick, G., Gamo, T.
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Journal Title
Marine Pollution Bulletin 51
Pages: 658-668
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