2006 Fiscal Year Annual Research Report
連続フロー質量分析法を用いた溶存気体の濃度・同位体比同時測定とその海洋学への応用
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16204045
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
蒲生 俊敬 東京大学, 海洋研究所, 教授 (70143550)
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Keywords | 連続フロー式同位体質量分析 / 海洋観測 / 溶存気体 / 安定同位体比 / 生物地球化学 / GEOTRACES / 酸素 / 水素 |
Research Abstract |
昨年度に引き続き,海水試料中の溶存気体(酸素および水素に着目)の濃度と同位体比の同時測定を継続して行うとともに,研究の最終年度として,3年間の研究の総括を行った。酸素に関しては,白鳳丸KH-06-2航海(17年6月2日〜23日)の際にフィリピン海のほぼ全域にわたる9測点で採取した海水試料を分析し,フィリピン海における酸素の濃度とδ^<18>Oの分布特性を詳細に明らかにした。温度・塩分等の基礎データと併せて移行拡散モデルによる解析を行い,フィリピン海の深層循環に伴う酸素の消費速度および酸素の同位体分別係数を推定した。この成果は,18年10月24-26日にチリで開催された酸素極小層に関する国際シンポジウムで報告し,現在論文に取りまとめ中である。また,昨年度北太平洋西経160度線に沿って得られた酸素濃度とδ^<18>Oデータの解析を進め,17年9月の日本海洋学会秋季大会で成果を報告するとともに,現在国際誌に論文を投稿中である。一方,海水中の水素ガスに関しては,溶存気体中の水素をガスクロマトグラフで単離しオンラインで同位体比質量分析計に導入するシステムを完成した。海水中のバックグラウンドレベルの水素測定のため感度向上に努めるとともに,濃度の高い海底熱水試料に本法を活用した。インド洋中央海嶺や西太平洋背弧海盆熱水に溶存する水素のδD値を初めて明らかにし,熱水中の水素ガスの起源を考察する上で貴重なデータを得た。成果の一部は国際誌に論文を投稿中で,19年8月の国際Goldschmidt Conference会議においても発表を予定している。
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Research Products
(7 results)