2006 Fiscal Year Annual Research Report
固体密度プラズマにおける複素導電率測定と詳細物理モデルの構築
Project/Area Number |
16204048
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Research Institution | University of Electro-Communications |
Principal Investigator |
米田 仁紀 電気通信大学, レーザー新世代研究センター, 教授 (00210790)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
北村 光 京都大学, 大学院理学研究科, 助手 (60335297)
中村 信行 電気通信大学, レーザー新世代研究センター, 助教授 (50361837)
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Keywords | ultra-short-pulse laser / warm dense matter / conductivity / equation of states / adiabatic expansion / two fluid region / electron localization / metal-nonmetal transition |
Research Abstract |
本研究では、原子間相互作用が強く、中距離秩序性が保たれている固体、液体状態と、原子は励起状態、イオン化状態にあり、原子間力や秩序性が無視できる通常のプラズマの中間状態にあるwarm dense matterと呼ばれる状態について、その物性値を明らかにし、詳細物理モデルを構築することを目的としている。特に、今年度は、従来から多くのデータが存在する水銀を対象に、超短パルスレーザー照射による、高温でのデータ評価と、第一原理的計算から得られる物理モデル、既存の実験データを利用した半経験的な実験式から得られる物理モデル、既存の実験データを利用した半経験的な実験式から得られるパラメータモデルを構築することを行った。 超短パルスレーザー照射による高温高圧化での実験では、1ピコ秒以下で金属絶縁体遷移が起きていること、また、プローブ光の反射位相面がその遷移にともない急激にシフトすることが明らかになった。この遷移にともなう反射率の変化は赤外〜可視全域にわたるため、超短パルスレーザーのような広帯域光の光遮断スイッチに適している。これまで、電子密度が増加することで反射率が増大する"プラズマミラー"があったが、ここでは逆に反射率が低下するミラーの構成が可能になることを示した。また、この機構を元に、フェムト秒レーザー用プラズマデバイスを試作し100fs入力で50fs出力のようなポストパルスカット光学素子を開発した。 一方、理論モデル構築では、Snの状態方程式を、低温側の得られている蒸気圧、潜熱データなどからの外挿により決定する手法を確立し、それを用いた流体コードにより、膨張フロントにおいてシャープな密度とびが存在する密度分布が得られることが明らかになった。現在、この確証を実験的に求めることを行っている。また、Hgについての第一原理的な計算から状態方程式を求める手法では、水銀原子がクラスタを構成していく数を増やしていくことで、励起状態のエネルギーが交差することを明らかにし、その効果を入れたことで、初めて実験データを再現できる水銀の2層流体状態の状態方程式が計算できることを明らかにした。 さらに、超短パルスレーザー実験では、加熱するパルスの吸収過程、絶対量が規定しにくい問題を解決するために、アメリカバークレー国立研究所にあるHCX重イオンビーム施設を訪問し、そこでのwarm dense matter実験を始めて行った。具体的には、ガラスの黒化現象を重イオン照射実験と深紫外超短パルスレーザー実験とで行い、比較をすることで、内殻の電子構造が残った状態で、固体のイオン化が起きたとされる400nm前後幅広い過渡的吸収の存在を明らかにした。
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Research Products
(7 results)