2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16205002
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
田中 健一郎 広島大学, 大学院・理学研究科, 教授 (90106162)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
関谷 徹司 広島大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (30259981)
和田 眞一 広島大学, 大学院・理学研究科, 助手 (60304391)
高橋 修 広島大学, 大学院・理学研究科, 助手 (60253051)
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Keywords | 軟X線放射光 / 内殻電子励起 / オージェ崩壊過程 / 光刺激イオン脱離 / サイト選択的反応 / 角度分解イオン検出 / 自己組織化単分子膜 / 密度汎関数法 |
Research Abstract |
本研究では、これまでに開発してきた各種の分光学的手法を基礎にして、新たにイオンの放出方向と並進エネルギーを測定できる新しい実験手法を開発し、多様な高配向性表面分子系において精度の高い実験と理論計算を使用した内殻励起イオン脱離反応のダイナミックスの全貌解明を目指している。本年度は、この研究目的に沿った研究を実施し、以下の成果を得た。 1.これまでの研究から、顕著なサイト選択的イオン脱離反応が期待できる自己組織化単分子膜試料に着目して、平坦かつ結晶性に優れた金や銀の基板を作成し、その表面に各種の高配向な自己組織化単分子膜を作成し、内殻励起イオン脱離反応を詳しく調べた。その結果サイト選択的イオン脱離反応は、自己組織化単分子膜の厚さと基板表面上での配向性に強く依存することが判明した。 2.サイト選択的イオン脱離反応により表面分子系から飛び出すイオンの放出角度と並進エネルギー分布を反映した2次元画像を直接得ることのできる角度分解イオン検出装置を製作するために、これまでに考案されている各種2次元検出装置をイオンの飛行軌道シミュレーション計算に基づいて検討し、本研究目的を達成できる角度分解イオン検出装置を設計した。 3.内殻共鳴励起状態の電子構造と反応性に関する理論的考察を可能とするため密度汎関数(DFT-TP)法や励起状態SCF法を発展させた新しい理論計算手法を開発し、多様な分子系について内殻励起、オージェ崩壊、結合解離の各過程を定量的に考察した。特にDFT-TP法による内殻励起エネルギーの汎関数依存性について詳しく検討し、相対論補正値を再評価することにより内殻励起エネルギーは十分精度よく(平均誤差0.2eV以内)理論予測できることが判明した。
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Research Products
(6 results)