2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16205002
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
田中 健一郎 広島大学, 大学院理学研究科, 教授 (90106162)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
関谷 徹司 広島大学, 大学院理学研究科, 助教授 (30259981)
和田 眞一 広島大学, 大学院理学研究科, 助手 (60304391)
高橋 修 広島大学, 大学院理学研究科, 助手 (60253051)
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Keywords | 軟X線放射光 / 内殻電子励起 / オージェ崩壊過程 / 光刺激イオン脱離 / サイト選択的反応 / 角度分解イオン検出 / 自己組織化単分子膜 / 密度汎関数法 |
Research Abstract |
本研究では、これまでに開発してきた各種の分光学的手法を基礎にして、新たにイオンの放出方向と並進エネルギーを測定できる新しい実験手法を開発し、多様な高配向性表面分子系において精度の高い実験と理論計算を使用した内殻励起イオン脱離反応のダイナミックスの全貌解明を目指している。本年度は、この研究目的に沿った研究を実施し、以下の成果を得た。 1.内殻電子励起により表面分子系から飛び出すイオンの放出角度と並進エネルギー分布を反映した2次元画像を直接得ることのできる角度分解型のイオン2次元検出装置ならびにデータ処理システムが完成し、所定の予備テストを経て研究計画に沿った実験を開始した。 2.これまでの研究成果をまとめて報告した総説論文(J.Phys. : Cond.Matter, 18, S1629-63, 2006)が、英国物理学会出版部の2006年7月の"IoP Select"論文に選ばれ、新しい研究領域を切り拓くブレークスルーをもたらす研究であると評価された。 3.平坦かつ結晶性に優れた金や銀の基表面に各種官能基を最表面上に高配向で配列する自己組織化単分子膜を作成し、内殻励起イオン脱離反応を詳しく調べた。その結果サイト選択的イオン脱離反応は、自己組織化単分子膜の厚さと基板表面上での配向性に強く依存することが判明し、金属基板との各種相互作用による反応の失活過程やイオンの再中性化過程に関する情報を得た。 4.サイト選択的化学結合切断反応機構の解明のため、内殻共鳴励起状態の反発ポテンシャルの傾きと化学結合との系統的な関係を理論的に調べた。その結果、着目した化学結合間の原子番号の和が大きいほど強い反発を示すこと、原子番号の大きい原子を励起した方がより強い反発を示すこと、結合長が短いほどより強い反発を示すことなど簡単な規則性を発見することができた。この規則性は、内殻励起によるサイト選択的結合切断を予測する1つの指標となり得るものである。
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Research Products
(10 results)
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[Book] 内殻分光2007
Author(s)
田中 健一郎 (分担執筆)
Total Pages
330 (299-310)
Publisher
株式会社 アイピーシー