2004 Fiscal Year Annual Research Report
顕微ラマン分光法を用いた有機薄膜多層構造における電気化学現象の解明と物性制御
Project/Area Number |
16205004
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
古川 行夫 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (50156965)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
細井 宜伸 早稲田大学, 理工学術院, 助手 (50386645)
本多 光太郎 早稲田大学, 理工学術院, 助手 (40367066)
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Keywords | ラマンスペクトル / 有機EL素子 |
Research Abstract |
典型的な低分子有機発光ダイオード(ITO/CuPc/NPD/Alq3/LiF-Al構造)を作製し,励起光波長532,633,840nmで顕微ラマンスペクトルを測定した.532nm励起ではNPDとCuPcのバンドが同じような強度で観測された.Alq3のバンドはほとんど観測されなかった.一方,633と830nm励起ではCuPcのバンドが支配的であった.これは共鳴・前期共鳴ラマン効果によるものである.NPDに関して,結晶/アモルファス状態を反映するバンドを見出した.ラマン分光は,デバイス劣化の一因と考えられているNPDの結晶化の検出に有用であることがわかった.2層型高分子発光ダイオード(ITO/PEDOT-PSS/PF8-F8BT/Li-Al)を作製し,顕微ラマンスペクトルを測定した.PEDOT-PSSはホール注入層材料として,多くの高分子発光ダイオードに使用されている.532と633nm励起のラマンスペクトルにおいて,デバイスの発光動作によりPEDOTのバンド強度の増加が観測された.PEDOT/PSSフィルムの酸化還元に伴うラマンスペクトル測定の結果に基づいて,観測された強度増大はPEDOTの還元を示すことがわかった.還元によりPEDOTの電子状態が変化するので,デバイスのホール注入・移動過程が変化して発光ダイオードの劣化が起こると予想される.PEDTT/PSSに替わるホール注入層材料を開発する必要がある.
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Research Products
(1 results)