2005 Fiscal Year Annual Research Report
顕微ラマン分光法を用いた有機薄膜多層構造における電気化学現象の解明と物性制御
Project/Area Number |
16205004
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
古川 行夫 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (50156965)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
細井 宜伸 早稲田大学, 理工学術院, 助手 (50386645)
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Keywords | ラマンスペクトル / 有機EL素子 |
Research Abstract |
シリコン単結晶表面に熱酸化により作製したSiO2層をゲート絶縁体層に用いて,ボトムコンタクト型とトップコンタクト型の電界効果トランジスタ(FET)を作製した.MEH-PPVを材料とするFETを作製し,ゲート電圧誘起赤外吸収を測定した.ゲート電圧をかけることにより正電荷が高分子層に注入されて正キャリア(ポーラロン)が生成することがわかった.ゲート絶縁体界面に生成するキャリアの面密度を見積もることができた.キャリア面密度は,ボトムコンタクト型よりもトップコンタクト型の方が高いことがわかった.有機半導体として,ポリジアセチレンを材料としたFETを作製した.トランジスタ特性を得ることができた.電界効果移動度は,1.3x10<SUP>-3</SUP>cm<SUP>2</SUP>/Vsで,オン・オフ比は1.0x10<SUP>4</SUP>であり,将来,有望な材料であることがわかった.ゲート電圧誘起赤外吸収を測定することができ,幅広い電子吸収と振動遷移のカップリングである電子・振動カップリングが観測された.トップ電極として金薄膜を用いて,Au/Alq3/SiO2/n-Si構造の金属・絶縁体・半導体デバイスに関して,電界効果によるキャリア注入がAlq3に及ぼす化学変化をラマン分光により研究した.表面増強ラマン効果により,ラマン散乱強度の著しい増大が観測され,金電極表面におけるAlq3のラマンスペクトルを測定することができた.さらに,ホール注入・放出を繰り返すと,Alq3は化学変化をすることを観測した.この方法は,金属表面における有機半導体の劣化を研究する標準的な方法となり得ることがわかった.
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Research Products
(3 results)