2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16205005
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
|
Research Institution | High Energy Accelerator Research Organization |
Principal Investigator |
野村 昌治 高エネルギー加速器研究機構, 物質構造科学研究所, 教授 (70156230)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩澤 康裕 東京大学, 大学院・理学系研究科, 教授 (40018015)
朝倉 清高 北海道大学, 触媒科学研究センター, 教授 (60175164)
佐々木 岳彦 東京大学, 大学院・新領域創成科学研究科, 助教授 (90242099)
稲田 康宏 高エネルギー加速器研究機構, 物質構造科学研究所, 助教授 (60242814)
鈴木 あかね 高エネルギー加速器研究機構, 物質構造科学研究所, 特別研究員(PD)
|
Keywords | 時間分解XAFS法 / 水冷型曲率可変結晶湾曲機構 / パルスX線 / サブナノ秒 / 不均一系触媒 / 高速CCD検出器 / その場構造解析 / その場電子状態解析 |
Research Abstract |
構造や電子状態が未解明である溶液中や固体表面での短寿命金属化学種を対象に、サブナノ秒オーダーの時間分解能でその場構造解析及び電子状態解析を行うためのPF-ARリングの特徴を生かした時間分解XAFS実験法の開発を目的とする。平成16年度は、まず、分散型光学系を有してXAFS解析に必要なX線エネルギー領域全体を一度に測定することが可能なDXAFS装置を対象とし、テーパードアンジュレーターからの大強度X線の熱負荷に耐える水冷システムを組み込んだ曲率可変結晶湾曲機構の開発を行った。これは、低エネルギーX線領域で主に用いるブラッグケース(反射型)と高エネルギー域で利用するラウエケース(透過型)の双方のポリクロメーターとして使用可能な設計とし、ブラックケースでは更に、結晶ホルダーを冷却する従来の間接冷却型に加え、ポリクロメーター結晶そのものに冷却水を循環させる直接冷却型の両方を開発した。後者は可動部位があるX線光学素子としては世界初の試みであり、更に広範な応用へ向けての基礎的な知見が得られた。 次に、パルスX線に対して高速に応答するアバランシェフォトダイオード検出器と平成16年度に導入した高速デジタルオシロスコープを用い、PF-AR北棟のNW2ビームラインでの放射光X線パルスとPF-ARリングのRFマスタークロック信号との間のジッター等の評価を行った。その結果、RF信号に対するX線パルスは781.2nsの遅延時間でNW2ビームライン実験ハッチに到着し、そのジッターは13.3psであった。この結果から、PF-ARのタイミング信号系がサブナノ秒時間分解XAFS実験を行う上で十分な時間安定性を有することが示された。 更に、不均一系触媒試料の気体分子との反応をその場観測するための死体積が少ない試料セル、均一な試料を調整する試料調整器を開発した。断熱を考慮することによって900〜1000℃までの昇温を可能とし、反応ガスをフローする条件下における水素吸蔵Pt材料や酸化物に担持したRh触媒などの固体試料の時間分解DXAFS測定に適用した。また、バッチ測定用試料セルの改造を行い、従来の不感時間(数100ms)を一桁以上短縮した。この試料セルを用いて、銅担持ゼオライト触媒の酸化還元過程に関する時間分解DXAFS測定に適用した。 平成17年度には、PF-ARの大強度パルスX線特性を最大限に利用する高速CCD検出器の開発を予定しているが、それに向けて、高速でライン転送するCCDチップを用いてキネティックスモード信号処理系の構成を検討した。また、通常の分光結晶掃引型XAFS測定への適用を目的とするフォトダイオード検出器の信号処理系の設計を行った。
|
Research Products
(31 results)