2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16205005
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Research Institution | High Energy Accelerator Research Organization |
Principal Investigator |
野村 昌治 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 物質構造科学研究所, 教授 (70156230)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩澤 康裕 東京大学, 大学院理学系研究科, 教授 (40018015)
朝倉 清高 北海道大学, 触媒化学研究センター, 教授 (60175164)
稲田 康宏 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 物質構造科学研究所, 準教授 (60242814)
唯 美津木 東京大学, 大学院理学系研究科, 助手 (70396810)
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Keywords | 時間分解XAFS法 / パルスX線 / サブナノ秒 / 高速CCD検出器 / 不均一系触媒 / その場構造解析 / その場電子状態解析 / 光励起状態 |
Research Abstract |
構造や電子状態が不明な溶液中および固体表面での短寿命金属化学種を対象とし、サブナノ秒までの時間分解能でその場構造解析およびその場電子状態解析を行うための時間分解XAFS実験法の開発を目的としている。平成18年度には、短寿命な光励起状態を生み出すための高出力パルスYAGレーザー(POWERLITE8000)を導入し、その立ち上げを行った。具体的には、1.26μsの時間間隔(PF-ARのRFマスタークロック信号からの遅延時間が781.2ns、ジッターが13.3ps)で実験装置部に到達する約100ps幅のパルスX線とのタイミング調整技術を確立すると同時に、時間分解XAFS測定を行うDXAFS装置の試料部へパルスYAGレーザー光を正しく照射するための光学系の確立を行った。また、高出力パルスレーザーに対する安全と試料の損傷を低減するためのシャッターシステムの開発及びそのインターロックシステムを確立した。一方で、500nsのゲートをかけることが可能な一次元検出器であるシリコンマイクロストリップ検出器を本システムに組み合わせ、標準的な試料である銅の金属箔について、PF-ARの1パルスのX線のみでXAFSスペクトルが正しく得られることを証明した。X線吸収端付近の微細構造には静的に測定したスペクトルの特徴が正しく再現されており、1パルス(=100ps)の時間のみで測定が可能であることを示した。X線エネルギーを変えながら繰り返し測定することによってサブナノ秒の時間分解能を達成する時間分解XAFS測定法並びにその応用例は欧米の放射光施設で既に報告されているが、真に100psの時間のみでXAFSスペクトルの全領域を測定できるシステムは世界初である。これは、そもそも繰り返しが困難な反応系に対して適用可能な唯一の手法である。但し、局所構造を解析するための広エネルギー領域のXAFSスペクトルに関しては、構造を解析できる統計精度を得るために10パルス分程度の積算を行う必要があることが明らかになった。このようにして確立したサブナノ秒時間分解XAFS法のシステムは、水またはアセトニトリル中におけるトリス(2,2'-ビピリジン)ルテニウム(II)錯体などの光励起状態の時間分解DXAFS測定に適用し、アセトニトリル中における三重項励起状態の減衰過程の時定数が可視光をプローブとする測定と一致することなどを確認した。
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Research Products
(15 results)
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[Journal Article] In Situ Time-Resolved Dynamic Surface Events on the Pt/C Cathode in a Fuel Cell under the Operando Conditions2007
Author(s)
M.Tada, S.Murata, T.Asaoka, K.Hiroshima, K.Okumura, H.Tanida, T.Uruga, H.Nakanishi, S.Matsumoto, Y.Inada, M.Nomura, Y.Iwasawa
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Journal Title
Angew. Chem. Int. Ed. (in press)
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