2004 Fiscal Year Annual Research Report
赤外励起ナノスケール表面分光測定装置の開発と高分子超薄膜-水界面の解析への応用
Project/Area Number |
16205015
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
北野 博巳 富山大学, 工学部, 教授 (40115829)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
源明 誠 富山大学, 工学部, 助手 (70334711)
長村 俊彦 株式会社ユニソク, 科学機器開発研究所, 所長
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Keywords | 高分子薄膜 / 水の構造 / 赤外励起 / 双性イオン / 血液適合性 / 振動分光法 / 血小板 |
Research Abstract |
今年度は、振動分光法による高分子近傍に存在する水構造解析を進めた。まず双性イオンであるスルホベタイン基を側鎖に有する単量体とn-ブチルメタクリレートとの共重合体薄膜中に存在する水の構造が、自由水に近似していることを全反射赤外分光法により見いだした。 水構造に関する同様の知見は、分子両端にアミノ基及びカルボキシル基を有するアミノ酸や、スルホベタイン基あるいはカルボキシベタイン基等の両性イオン基を有する界面活性剤水溶液中の水構造の偏光Raman分光解析によっても得られた。 さらに、スルホベタイン構造を有する高分子膜へのヒト血小板の付着数が、ガラスや、ポリ-2-ヒドロキシルメタクリレート(PHEMA)、さらにはポリ-n-ブチリメタクリレートと比べ、きわめて少ないことを確認した。一方、双性イオン型高分子を集積した表面へのタンパク質の吸着が起こりにくいことを、電気化学的手法(サイクリックボルタンメトリー)や分光学的手法(局在表面共鳴プラズモン法)により見いだした。これまでの知見と併せると、高分子薄膜の血液適合性は、膜近傍の水構造が乱されていないこと、膜へのタンパク質の吸着が微少であることと強い相関があることが判明した。 当科学研究費補助金で購入した波長可変赤外線レーザーは、納入が予定よりも大幅に遅れ2005年3月にようやく研究室に搬入された。したがって、今年度の研究に直接活かすことは出来なかった。次年度以降は、同光源を用いて、膜表面近傍の水構造の直接観測を実施する予定である。
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Research Products
(7 results)