2005 Fiscal Year Annual Research Report
乱流における新しい超音波計測法の開発と乱流運送限界の解明
Project/Area Number |
16206020
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
佐野 雅己 東京大学, 大学院・理学系研究科, 教授 (40150263)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村山 能宏 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助手 (60334249)
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Keywords | レーリー・ベナール対流 / 熱乱流 / 超音波流速計 / 乱流中の巨視的構造 / 熱輸送限界 |
Research Abstract |
超音波による熱乱流の速度場計測法を確立するとともに、熱乱流における熱輸送法則とそれを決定付けている境界層の構造を明らかにすることが本研究の主要な目的である。そのため、今年度は以下の研究を行い、所定の成果を得た。 1.超音波ドプラー法が乱流速度場の計測に用いられた例は殆どなく、熱乱流に適用した我々の実験が最初の実験であった。超音波による速度場計測の正しさを定量的に明らかにするため、PIV(粒子画像速度計)法と超音波計測を水の熱対流系に同時に適用し、両者の比較を行った。その結果、両者は定量的によく一致することを確かめた。また、超音波法では、散乱体の密度が重要であり、エコー取得率が90%を越える条件で両測定の相関が0.9を超えることを明らかにした。(発表済み) 2.同じレーリー数でより高いレイノルズ数が得られる低プラントル数の液体金属(水銀)を用いて実験を行い、ハード乱流状態を特徴づける乱流中の平均流(巨視的流れ)の構造が容器のアスペクト比にどう依存するかを調べた。その結果、アスペクト比2の横長の円筒セルでは、速度場、温度場とも強い低周波の振動が現れることから、平均流は反転または、横揺れの振動運動となっている可能性が高いことが分かった。アスペクト比1では、エネルギースペクトル低周波にピークが現れるが明確な周期振動とは異なり、平均流は1ロール状態を形成して揺らいでいることが示唆された。さらにアスペクト比0.5のセルでは、セルの上半分で上向き、下半分で下向きの平均流が観測され、エネルギースペクトルには明確なピークは見られなかった。主成分解析や条件付確率などの解析から、傾いた1ロールか、2つのドーナッツ状ロールの存在が示唆された。(発表済み) 3.境界層内の構造を明らかにするため、境界面に沿ったx軸、y軸方向の速度場の同時計測を行った。その結果、境界層内を伝播する孤立波状の励起構造や、平均流ロールの回転に伴うと見られるx-y面内の速度場の回転が観測された。以上の実験事実からアスペクト比0.5の場合の乱流中の平均流は、長く傾いたロール構造をとっており、時間とともに回転や上下動などの変動を伴っていると推測された。これらの構造が熱乱流の熱輸送に大きな影響を与えていることは明らかである。(発表準備中) 4.さらに多数の超音波トランスデューサーを同時に用いて、3次元の速度場計測を実現し、乱流構造を明らかにするため、セルの外部から超音波トランスデューサーをあて、自動ステージを移動させながらセル全体をスキャンする新しい計測方法の開発に着手した。セル容器の壁での反射を最小にするため音響インピーダンスのマッチングを最適化し、ビームの形状を整形するため、超音波トランスデューサーを自作し試験を行った。(継続中)
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Research Products
(4 results)