2005 Fiscal Year Annual Research Report
酸化物クラスターを基盤としたグリーンな選択酸化反応系の構築
Project/Area Number |
16206077
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
水野 哲孝 東京大学, 大学院・工学系研究科, 教授 (50181904)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
引地 史郎 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助教授 (10282857)
|
Keywords | 欠損型ポリオキソメタレート / バナジウム / S字型 / 過酸化水素 / 選択酸化 |
Research Abstract |
[γ-SiW_<10>O_<36>]^<8->とメタバナジン酸ナトリウムの酸性水溶液中での反応により、稜共有バナジウム2置換の構造を有する[γ-1,2-SiV_2W_<10>O_<40>]^<6->(1)を合成した。t-ブタノール/アセトニトリル混合溶媒中、1-オクテン/過酸化水素比を1:1の条件下でエポキシ化を行ったところ、1では選択率【greater than or equal】99%、収率93%で相当するエポキシドを得ることができた。一方、バナジウム置換数、結合様式の異なるバナジウム置換ポリオキソタングステートは同条件下でほとんど活性を示さなかった。1は、プロピレンやブテンのアルケンを含むエポキシ化を効率よく促進する。また1は、ジエン類のエポキシ化反応において、これまでに全く報告されてない特異的な位置選択性を示した。例えば、trans-1,4-ヘキサジエンやリモネンでは、いずれの場合も立体障害のより低い末端の二重結合が選択的にエポキシ化された(選択率>90%)。また、二原子欠損型タングストケイ酸アニオン[γ-SiW_<10>O_<36>]^<8->の部分プロトン化体である[γ-SiW_<10>O_<34>(H_2O)_2]^<4->の有機溶媒中における二量体化により、20個のタングステンから構成される2種類の新規ポリオキソメタレートが生成した(プロトンを共存させた場合には末端アクア配位子を含みS字型の分子構造を有するクラスター[{γ-SiW_<10>O_<32>(H_2O)_2}_2(μ-O)_2]^<4->が生成するのに対し、プロトンが存在しなかった場合には閉環型分子構造を有するクラスター[(γ-SiW_<10>O_<32>)_2(μ-O)_4]^<8->が生成)。さらに新規ポリオキソメタレートおよび[γ-SiW_<10>O_<34>(H_2O)_2]^<4->の触媒特性の比較を行い、S字型構造を有するクラスターのみが過酸化水素を酸化剤とするケトン類のラクトンへの変換反応であるBaeyer-Villiger酸化に高い触媒活性を示すことを見出した。
|
Research Products
(6 results)