2006 Fiscal Year Annual Research Report
酸化物クラスターを基盤としたグリーンな選択酸化反応系の構築
Project/Area Number |
16206077
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
水野 哲孝 東京大学, 大学院工学系研究科, 教授 (50181904)
|
Keywords | 酸化物クラスター / 過酸化水素 / 分子状酸素 / 選択酸化 / 炭化水素 |
Research Abstract |
V(μ-OH)_2-V構造を持つポリオキソメタレート[γ-H_2SiV_2W_<10>O_<40>]^<4->(1)を触媒に用い、過酸化水素を酸化剤としたオレフィンエポキシ化を検討した。1のテトラブチルアンモニウム塩を触媒に用い、MeCN/tBuOHの1:1混合溶媒中均一系で種々のオレフィンを過酸化水素1当量用いてエポキシ化を行った。1-オクテンをはじめとする末端オレフィンに対しては、ほぼ100%の選択率、90%以上の収率でエポキシドが得られた。この反応系は顕著な立体効果を示した。trans-1,4-ヘキサジエン、(R)-(+)リモネン、7-メチル-1,6-オクタジエンといったジエン類を基質とした場合には、電子密度が低く立体的に混み合っていない末端の二重結合が位置選択的にエポキシ化された。また、3位置換シクロヘキセン類のエポキシ化では、置換基に対してtrans位に酸素原子を持つエポキシドが選択的に生成した。ジクロロエタン溶媒中で1と過酸化水素を反応させると、^1H,^<51>V,^<183>W NMR, CSI-MSスペクトルで1のシグナルに加えV-(μ-OH)(μ-OOH)-V構造を持つ化学種[γ-HSiV_2W_<10>O_<39>(OOH)]4^-(2)に帰属されるシグナルが観察された(^1H NMR:5.1(1H),9.45ppm(1H);^<51>V NMR:-530ppm(2V);^<183>W NMR:-79(2W),-83(2W),-92(1W),-104(1W),-127(2W),-132ppm(2W);CSI-MS(anion mode): mlz,3354)。MeCN/tBuOHの1:1混合溶媒中で1と過酸化水素を反応させると、^<51>V NMRで1および2のシグナルに加え-595ppmに新たなシグナル(3)が現れた。この溶液に1-オクテンを加えると、2および3は速やかに減少した。エポキシ化反応の速度論から、本反応系は1と過酸化水素が反応して可逆的に2が生成し、さらに2から可逆的に3が生成し、3と基質が反応して進行すると推定した。
|
Research Products
(3 results)