2005 Fiscal Year Annual Research Report
高度な環境調和型物質変換プロセスを指向した新世代型ハイブリッド触媒の開発
Project/Area Number |
16206078
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
金田 清臣 大阪大学, 大学院・基礎工学研究科, 教授 (90029554)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
海老谷 幸喜 大阪大学, 大学院・基礎工学研究科, 助教授 (50242269)
水垣 共雄 大阪大学, 大学院・基礎工学研究科, 助手 (50314406)
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Keywords | グリーンケミストリー / ワッカー反応 / 炭素-炭素結合形成反応 / アルコール酸化反応 / one-pot反応 / モンモリロナイト / ハイドロキシアパタイト / ハイドロタルサイト |
Research Abstract |
本研究では、高度な環境調和型物質変換プロセスを指向し、無機結晶化合物の特性を利用し新しいタイプのハイブリッド触媒の開発を行った。以下に代表的な成果を述べる。 (1)PdCl_2錯体をアミド系溶媒中にて用い、分子状酸素のみをPd(0)種の再酸化剤とした極めて効率的なWacker酸化反応系を開発した。本反応系は、銅や塩酸を全く必要とせず、80度という温和な条件下で、従来のWacker反応系よりも高い活性・選択性・基質適用性を示す。本触媒系は、求核剤を選択することで、末端オレフィンの酸化的官能基化反応における位置選択性の完全スイッチが達成できる特徴ももちあわせており、例えば、H_2Oの代わりに酢酸を求核剤に用いると、1級炭素のみが選択的にアセトキシル化される。 (2)均一系では酸と塩基を混合すると中和反応により、お互いを不活性化してしまうため、反応系内に共存することができない。金属カチオン交換モンモリロナイト(M^<n+>-mont)は、固体酸触媒として機能することを見出しているが、その酸点は数Åのmont層間の金属カチオン種に起因する。また、約40μmの粒子であるハイドロタルサイト(HT)は、表面塩基点をもっている。この2つの固体触媒を混合しても、mont層間の酸点とHT表面の塩基点は接触することなくお互いの機能を発揮でき、複数の酸・塩基触媒反応を連続的に進行させるone-pot反応を可能とする。 (3)ハイドロキシアパタイト表面に固定化した単核Laカチオン種は、不斉マイケル反応を進行させる固体触媒となることを見出した。 本研究で開発した触媒は、分離・回収が容易で再使用が可能であるというだけでなく、均一触媒系に比較し、優れた化学選択性を示す特徴があり、目的物質をシンプルに作る新しい合成ストラテジーを提供し、自然共生型のモノづくりを可能とすると考えている。
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Research Products
(26 results)