2006 Fiscal Year Annual Research Report
アクアトロンを用いた水域生態系における異なる遺伝子伝播経路の解析
Project/Area Number |
16207001
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Research Institution | Research Institute for Humanity and Nature |
Principal Investigator |
川端 善一郎 総合地球環境学研究所, 研究部, 教授 (80108456)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
那須 正夫 大阪大学, 大学院薬学研究科, 教授 (90218040)
遠藤 銀朗 東北学院大学, 工学部, 教授 (80194033)
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Keywords | アクアトロン / 遺伝子水平伝播 / トランスポゾン / 接合性プラスミド / プランクトン群集 / 自然形質転換 / 形質導入 / 富栄養化 |
Research Abstract |
平成18年度はアクアトロンにおける遺伝子水平伝播頻度の経路別評価等を行った。得られた結果以下の通りである。 1)接合伝達に与えるアオコの影響を評価するため、アオコの発生量の異なる培養液のろ液で遺伝子授与菌E.coliLE392と遺伝子受容菌E.coliDH5αを培養し、接合伝達頻度の比較を行った。その結果、アオコの多い系と少ない系で接合伝達頻度に有意な差は認められなかった。 2)形質導入に与えるアオコの影響を評価するため、アオコの発生量の異なる培養液でEC10ファージを培養し、ファージの生残性を感染能により比較した。その結果、培養170時間後ではアオコの多い系に比べ、少ない系で有意にファージの感染能が高かった。 3)河川水を用いたモデル系にプラスミドを添加し、自然形質転換をモニタリングした。その結果、i)細胞外のプラスミドは急速に分解されるものの、その一部は残存した。これらの残存したプラスミドは遺伝子プールとなることが考えられた。ii)自然形質転換によりプラスミドを取り込んだ細菌数はGFP遺伝子を発現していた細菌数に比べて最大100倍以上の値であった。すなわち、形質転換は、環境中においてこれまで考えられていた以上の頻度で起こっており、その一部が取り込んだ遺伝子を発現していることが推測された。 4)遺伝子伝播媒体としての細菌性イントロンのスプライシング現象を把握するために、大腸菌の遺伝子伝播in vivo系を作製し、プラスミドDNA間でのイントロンの転移についてスプライシング現象を確認することができた。 5)細菌性イントロンをフランクしたトランスポゾンはそれ自体の転移機能とイントロンのmRNAの転写の制御に関与していることが、イントロンのプロモータおよび転写開始点の探索から示唆された。
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Research Products
(8 results)