2006 Fiscal Year Annual Research Report
青色光受容体フォトトロピンの成長促進作用とその分子機構の解明
Project/Area Number |
16207003
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Research Institution | KYUSHU UNIVERCITY |
Principal Investigator |
島崎 研一郎 九州大学, 大学院理学研究院, 教授 (00124347)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
土井 道生 高等教育総合開発研究センター, 助手 (00167537)
木下 俊則 九州大学, 大学院理学研究院, 助手 (50271101)
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Keywords | 気孔 / フォトトロピン / 葉の横伸展 / 青色情報伝達 / 成長 |
Research Abstract |
フォトトロピンが光エネルギーを有効利用を促し、特に、弱い光条件下で成長を促進する事を示した。本年度はこの点についてさらに詳しく調べ、以下の成果を得た。 (1)シロイヌナズナの芽生えに上方から赤色光(25マイクロモル)に加えて弱い青色光(0.1マイクロモル)を照射すると、葉面が光と直角方向を向いた。この現象を指標に変異株のスクリーニングを行い、複数の変異体を得た。 (2)この中の、phot1以外の変異株について詳しく調べるとnph3変異であった。また、この変異によって葉の平滑化も阻害されていた。nph3の変異部位はcoiled-coil domainにあり、このドメインがnph3蛋白質が細胞膜に局在するのに重要な役割を果たしていた。しかし、葉緑体運動や気孔開口は正常であった。興味深い事に青色光の強度を上げるとこの変異表現形は消失し、phot1からnph3への情報伝達が弱い青色光条件で起こり、光強度を上げるとphot2を介した反応が起こること、その場合はnph3以外の未知の経路を介していると推定された。 (3)nph3変異株は葉の平滑化と葉の定位をうしなった変異体である。しかし、葉緑体運動と気孔開口は正常である。そこで、このnph3変異体を用いて成長実験を行った。その結果、弱い青色光照射の条件下ではこの変異体は大きな成長低下を来したが、phot1変異株よりやや成長が良かった。この事実は、nph3が葉の平滑化と定位運動を通して、成長に寄与している事を示している。 (4)同様の実験条件下で青色光を真横から照射すると葉面を青色光の方向に向けた。その後、青色光を上方から照射すると8時間程度で葉面を上方に向け、そののち、ゆっくりと葉柄も回転させた。以上の結果は、葉面の定位は可逆的で、まず、光吸収を最大にするように葉面を短時間のうちに光方向に向け、その後、葉柄を回転させてそのねじれを解消させることがわかった。
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Research Products
(8 results)