2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16207005
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
馬渡 駿介 北海道大学, 大学院・理学研究科, 教授 (50096913)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
片倉 晴雄 北海道大学, 大学院・理学研究科, 教授 (40113542)
高橋 英樹 北海道大学, 総合博物館, 教授 (70142700)
齋藤 裕 北海道大学, 大学院・農学研究科, 教授 (20142698)
矢部 衛 北海道大学, 大学院・水産科学研究院, 助教授 (80174572)
柁原 宏 北海道大学, 大学院・理学研究科, 助手 (30360895)
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Keywords | 海産コケムシ類 / 陸水性ミズダニ類 / 海産ヒモムシ類 / 齧歯類 / 陸上植物 / 土壌性原生動物 / 海産魚類 |
Research Abstract |
本年度は、まず、海産コケムシ類について、特に大黒島潮間帯の多様性について集中的に調査した。その結果、7000を超える標本を採集し、39種の唇口類を発見した。その23%にあたる9種は未記載種、54%に当たる21種は日本史記録種であった。生物地理学的に見ると、北方-北極圏種が31%、北方種が54%、そして、北方-亜熱帯種が15%を占めていた。他地域と比較すると、大黒島周辺の潮間帯コケムシ多様性は、似たような生息環境をもつブリティッシュコロンビアやアラスカ湾、コマンダー諸島と比べると低い値を示した。その理由として、底質が砂であることと、厚岸湾が比較的浅いことにより、1)潮間帯へ移入する可能性を持つ潮下帯生息種の現象をもたらし、2)さらに遠方の個体群から移入がじゃまされている可能性が考えられる。 苔虫類のほか、海産動物ではヒモムシ類と魚類の調査が行われた。結果は現在とりまとめ中であるが、それぞれの多様性が苔虫類のそれと類似している可能性が高い。 大黒島の陸上環境においては、陸上植物の網羅的採取が行われた。特に希少種の発見はなかったが、多様性の特徴としては湿地性種の数が多いことが上げられる。大黒島は島でありながら起伏に富み、春先には低地が湿地化することから、このような結果が得られたものと考えられる。 齧歯類の調査では、これまで大黒島には2種がいるとされてきたが、今回の調査でエゾヤチネズミ1種であることが明らかになった。しかし、DNA分析によれば、本土の同種と微妙にハプロタイプが異なっており、少なくともここ数千年の間は本土個体群と遺伝的交流が絶たれていると考えられた。そのほか、陸水性ミズダニ類と土壌性原生動物の調査を行った。ミズダニ類においては、世界共通種が多く見られた。土壌性原生動物は現在データの解析中である。
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Research Products
(6 results)