2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16208001
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
三上 哲夫 Hokkaido University, 大学院・農学研究院, 教授 (50133715)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
久保 友彦 北海道大学, 大学院・農学研究院, 准教授 (40261333)
小野寺 康之 北海道大学, 大学院・農学研究院, 助教 (80374619)
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Keywords | テンサイ / 細胞質雄性不稔性 / cDNA / 葯 / タペート細胞 / 非特異的脂質輸送タンパク質 / in situハイブリダイゼーション / ミトコンドリア |
Research Abstract |
テンサイOwen型細胞質雄性不稔の原因タンパク質はミトコンドリア内膜に蓄積してホモオリゴマー複合体を作り、ミトコンドリアの機能不全を起こす。今年度は、ミトコンドリア機能不全から花粉不稔へ至る経路を明らかにする目的で研究を進めた。得られた成果は次の通りである。 1.テンサイ正常株の葯cDNAライブラリーから、Owen雄性不稔株には見あたらないクローン#74-29を単離した。#74-29の塩基配列より予想されるアミノ酸配列は非特異的脂質輸送タンパク質(non-specificlipid transfer protein)に似ているのでbvLTPと名付けた。 2.bvLTPは葯組織で転写されるが、根や葉などの栄養器官では発現しないことが明らかとなった。 3.In situハイブリダイゼーション実験を通じて、bvLTPは減数分裂期や四分子期では発現せず、小胞子期初期の限定された時期にタペート細胞でのみ発現することが判った。以上の結果はbvLTPが花粉の成熟に重要な役割を果たしていることを強く示唆する。 4.様々な程度の雄性不稔型を分離する戻し交雑集団を用いて、bvLTPの発現と花粉稔性との関連を調べた。その結果、bvLTPは花粉稔性が30%以上の植物で例外なく発現するのに対して、花粉稔性が20%以下の植物ではまったく発現がみられないことが判明した。 5.Owen雄性不稔株の葯組織においては、四分子期以降にタペートミトコンドリアの顕著な形態異常が起こることが知られている。したがって、Owen雄性不稔株では雄性不稔原因タンパク質のはたらきによってミトコンドリアの機能に不具合が生じた結果、タペート細胞で何らかの生理障害が発生し、これに伴ってbvLTPの発現も阻害されたと解釈される。
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Research Products
(4 results)