2004 Fiscal Year Annual Research Report
高・低温環境下における水稲登熟粒の品質・食味低下および不完全登熟粒発生の要因解明
Project/Area Number |
16208003
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
|
Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
松田 智明 茨城大学, 農学部, 教授 (50007788)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
新田 洋司 茨城大学, 農学部, 助教授 (60228252)
後藤 雄佐 東北大学, 大学院・農学研究科, 助教授 (80122919)
|
Keywords | アミロプラスト / 不完全登熟 / 胚乳 / 品質 / 高温登熟 / 屑米 / 冷害 / 水稲 |
Research Abstract |
本年度は7報の研究成果を発表した。高温環境下の水稲の登熟については、高温登熟により多発した不完全登熟粒を解析して、腹白米や乳白米における胚乳の白色不透明部では、アミロプラストの増殖異常や空隙の増加が生じていることを明らかにした。 低温環境下における水稲の登熟については、著しい減収となった2003年度の宮城県産冷害水稲を中心に解析を行った。冷害による減収の要因は屑米の増加であり、とくに外観品質上の問題が無く、粒厚の不足のみによって屑米となった粒(半完全米と呼称した)の著しい増加が特徴であることを明らかにした。水稲品種「あきたこまち」の屑米においては、共通的に認められたアミロプラストの形態異常を詳細に解析し、胚乳におけるプラスチドあるいはアミロプラストの増殖異常が不完全登熟粒増加の要因であることを明らかにし、その原因として、低温と日照不足による糖の供給量レベルの低下を指摘した。水稲品種「ひとめぼれ」の減収要因である乳白米の構造解析の結果、アミロプラストの形態異常やデンプン蓄積密度の著しい低下などが明らかになり、さらに、半完全米の構造解析の結果、胚乳細胞内に多量の細胞質が残存していることも明らかになり、冷害により著しく遅延した登熟の結果、未熟の状態で収穫された粒が多量に混入していることが明らかとなった。 水稲子房における糖の転送経路として重要な珠心表皮組織の構造的特徴と転送機能との関係を明らかにするとともに、冷害時にも生じる日照不足条件によって、胚乳の初期形成に異常が生じること、その構造的特徴が高温ストレス下で生じる子房の構造的特徴と類似することを明らかにした。
|
Research Products
(7 results)