2006 Fiscal Year Annual Research Report
高・低温環境下における水稲登熟粒の品質・食味低下および不完全登熟粒発生の要因解明
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16208003
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
松田 智明 茨城大学, 農学部, 教授 (50007788)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
新田 洋司 茨城大学, 農学部, 助教授 (60228252)
後藤 雄左 東北大学, 大学院農学研究科, 助教授 (80122919)
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Keywords | アミロプラスト / 不完全登熟 / 胚乳 / 品質 / 高温当熟 / 屑米 / 冷害 / 水稲 |
Research Abstract |
本年度は7報の研究成果を発表した. 2005年度に茨城県内各地で栽培されたコシヒカリにおける食味関連形質と炊飯米の微細構造を調査した.その結果玄米の千粒重は大きく,粒厚は厚く,タンパク質含有率やアミロース含有率は低いことが判明した.またその炊飯米は,表層部で多孔質の「海綿状構造」および「細繊維状構造」が,内部で「海綿状構造」が認められ,良食味米の微細構造を有することが確認された.東日本で生産された玄米について検討した結果では,千粒重が大きく粒厚が厚い玄米では,精米のタンパク質含有率やアミロース含有率がそれらに規定されない場合があることが明らかとなった.逆に規定される場合は,品種や生産地が異なることによる千粒重および粒厚のばらつきが要因であると考えられた. 胴割れ米の構造的特徴を光学および走査電子顕微鏡で観察した.その結,果胴割れの発生程度が高い品種(藤坂5号)は低い品種(コシヒカリ)に比べて,胚乳細胞内で開花後10日目から多量の空隙が認められる低密度な蓄積構造であることや,増殖異常を生じたアミロプラストが多数認められることなどが明らかとなった. つぎに,炊飯にともなう不完全登熟粒の粒形変化と内部構造を検討した.その結果,炊飯過程で部分的に膨張した米粒では,糊化の進行の遅速や,非同心円状,非求心的な糊化の進行が認められた.これらは,部位によるデンプンの質の差および登熟時の蓄積の不均等さによるものと考えられた. 低温環境下における水稲の登熟については,2003年度の宮城県産冷害水稲品種ひとめぼれおよび品種はえぬきを中心に解析を行った.その結果,粒重が軽い種子ほどアミロプラストおよびデンプン粒の形態異常が認められた.この原因としては,低温寡照によって胚乳内への糖の供給が不足したことおよびその継続が考えられた. 以上のほか,コムギ子実における貯蔵物質の蓄積構造を観察し,水稲登熟粒の場合と比較した.
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Research Products
(7 results)