Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
寺沢 実 北海道大学, 大学院・農学研究科, 教授 (50003124)
波多野 隆介 北海道大学, 大学院・農学研究科, 教授 (40156344)
山本 康貴 北海道大学, 大学院・農学研究科, 助教授 (90191452)
吉田 謙太郎 筑波大学, 社会工学系, 講師 (30344097)
佐藤 和夫 酪農学園大学, 酪農学部, 講師 (70347756)
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Research Abstract |
今年度は環境評価の課題について以下の成果を学会誌、国際会議で公表した. (1)環境負荷を考慮した経済活動の持続可能性を評価する手法としてEcological Footprint(EF)やOECDのデカップリング指標(DI)などが開発されている.DIはCO_2など単一の物量での持続性可能性評価であるため総合的判断ができない.また,EFは土地,エネルギー,森林などの自然資源をベースにした評価であるため経済的側面を考慮していない.そこでEFとDIの欠点を相互補完させる形で改良し,新たな持続可能性指標(EFDI)を構築した.また,考案したEFDIを用いて北海道の農林業の持続可能性評価を行なった.その結果,北海道の農林業は,環境面からみて持続可能な産業(環境負荷以上に多面的機能を発揮)であり,「相対的な持続可能性」の状態にあることが明らかになった. (2)農林業は食料やバイオマス資源の供給機能の他,環境便益の供給機能も担っている一方で,生産活動において他産業同様,環境負荷を発生させている.経済成長,環境負荷削減,環境便益増進を一つのフレームワークで評価するためには,NAMEA(環境勘定を含む国民勘定行列)が適応でき,持続可能性の評価にはEFが適用できる.そこで,NAMEAを農林業に適用し,EFを用いて北海道の農林業の持続可能性を評価することを目的とした.その結果,1995年から2000年の間に,北海道の農林業は環境便益発揮による便益が環境負荷の発生による損失を上回り,生態学的に持続可能な状態であることが示されたが,農林業の生産額は減少しており,北海道の農林業は経済的な持続可能性は達成されていないことが明らかとなった. (3)LCA(ライフサイクルアセスメント)を用いて農業地域の地域資源循環システム構築における環境負荷削減効果を分析した.家畜ふん尿を有効利用するために地域資源循環システムとしてバイオガスプラントを導入した場合,エネルギー消費量,地球温暖化,地下水水質における環境改善を見込める一方で,酸性化と富栄養化ではむしろ悪化する恐れ(プロブレム・シフティング)があることが明らかになった.
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