2005 Fiscal Year Annual Research Report
インスリン様活性を調節する新しい細胞内メカニズムの解明
Project/Area Number |
16208028
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
高橋 伸一郎 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助教授 (00197146)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伯野 史彦 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助手 (30282700)
永田 晋治 東京大学, 大学院農学生命科学研究科, 助手 (40345179)
西原 真杉 東京大学, 大学院農学生命科学研究科, 教授 (90145673)
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Keywords | インスリン / インスリン様成長因子 / サイトカイン / 細胞内シグナル / インスリン受容体基質 / チロシンリン酸化 / ツーハイブリッドスクリーニング / プロテオミクス |
Research Abstract |
本研究では、IGF-I受容体/インスリン受容体チロシンキナーゼの基質であるIRS-1あるいはIRS-2に相互作用し、自身のチロシンリン酸化や下流シグナルを修飾する分子を網羅的に同定することを目的としている。まず、本年度は、TNFα処理することによって引き起こされる3T3-L1脂肪細胞のインスリンシグナル抑制機構を明らかにするために、IRS-1をbaitに用い、TNFα処理した3T3-L1脂肪細胞のcDNA libraryをpreyとしたyeast two-hybrid screeningを行い、IRSと相互作用する分子、IRSAPをコードする複数の遺伝子の取得に成功した。同定したタンパク質のひとつ、GKAPは、3T3-L1脂肪細胞のTNFα前処理後のインスリン処理に応答してIRS-1とPKGと複合体を形成し、PKG活性を介してインスリン抵抗性を発生していることが明らかとなった。一方、トロピックホルモンによりIGFシグナルの増強が観察されるFRTL-5甲状腺細胞の抽出液より、抗IRS-2抗体を用いてIRS-2と共免疫沈降されるタンパク質を網羅的にMALDI-TOF MS分析で調べたところ、IRS-2と相互作用する複数種のタンパク質の同定に成功した。この中には、シャペロン分子HSP90が含まれ、FRTL-5細胞をトロピックホルモンで処理する際にHSP90のシャペロン活性を抑制する阻害剤を添加すると、IRS-2のIGF依存性チロシンリン酸化の増強が観察されなくなった。他の結果も併せ、他の細胞外因子によるIRSを介したシグナルの修飾には、IRSのセリン/スレオニンリン酸化のような分子内修飾と同時に、IRSとIRSAPとの相互作用、すなわちタンパク質-タンパク質相互作用が重要な役割を果たしていることが明らかとなった。
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Research Products
(5 results)