2005 Fiscal Year Annual Research Report
免疫学的アプローチによる消化管運動系の分子制御機構の解明
Project/Area Number |
16208029
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
尾崎 博 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 教授 (30134505)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
堀 正敏 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助教授 (70211547)
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Keywords | 消化管 / 運動 / 平滑筋 / マクロファージ / 神経 / カハール介在細胞 / 炎症性腸疾患 / サイトカイン |
Research Abstract |
本年度は、自然免疫を司る重要分子TLR2やTLR4の変動に加え、クローン病の原因遺伝子として近年注目されている細胞内菌体成分受容体であるNOD2の変動について、TNBS誘発結腸炎モデルラットを用いて解析した。結果、本腸炎モデルラットの結腸病変部において、NOD2遺伝子の発現がTLR2やTLR4の遺伝子と共にmRNAレベルで増加していることが判明し、in situ hybridization解析より発現細胞が粘膜上皮のクリプト部にあることが明らかになった。この結果はヒトのクローン病患者での成績と類似していることから、NOD2遺伝子変動という観点からも、本モデル動物がクローン病モデルとして有用な結腸炎モデルであることが示唆された。また、興味あることに、筋層炎症部においても筋層間の滲出性炎症細胞の一部がNOD2陽性であることがわかり、筋層部の炎症応答にもNOD2が関与している可能性が示唆された。次に、TNBS誘発腸炎時における筋層炎症部でのED-1,ED-2陽性細胞数の変動を経時的に解析するとともに、電子顕微鏡による解析を行い、腸炎発症時に増加する筋層常在型マクロファージの由来について解析した。結果、炎症初期には単球由来の滲出性マクロファージが筋層部に浸潤し、遅れてED2陽性の常在型マクロファージ数が増加すること、MCP-1のドミナントネガティブ体投与、あるいはMCP-1の中和抗体の投与により、両者のマクロファージの浸潤が顕著に抑制されることが明らかになった。すなわち、炎症に伴う筋層部でのマクロファージ数の増加にはMCP-1が重要であり、常在型マクロファージの一部は滲出性マクロファージからの形質変換により増加する可能性が示唆された。また、MCP-1は炎症性腸疾患の筋層部炎症に有効な治療標的である可能性が考えられた。
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Research Products
(5 results)