2005 Fiscal Year Annual Research Report
プリオン病における赤芽球系造血細胞の分子病態:生前分子診断のための分子基盤確立
Project/Area Number |
16208030
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
稲葉 睦 北海道大学, 大学院・獣医学研究科, 教授 (00183179)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
堀内 基広 北海道大学, 大学院・獣医学研究科, 教授 (30219216)
稲波 修 北海道大学, 大学院・獣医学研究科, 助教授 (10193559)
梅村 孝司 北海道大学, 大学院・獣医学研究科, 教授 (00151936)
山本 雅之 筑波大学, 基礎医学系先端学際領域研究センター, 教授 (50166823)
陰山 聡一 北海道立畜産試験場, 畜産生物工学科, 主任研究員 (80390863)
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Keywords | プリオン病 / 分子診断 / 造血前駆細胞 / AHSP / サイトカイン / 転写制御 / 人獣共通感染症 / 牛 |
Research Abstract |
1)AHSP遺伝子5'上流領域2.5kbを単離し、各種異変を構築してMELhide8細胞におけるプロモーター活性を解析した結果、赤芽球系分化誘導時には、翻訳開始点(exon 2)の上流-328〜-286bpに位置する転写因子GATA結合モチーフがAHSPの転写活性化に必要な最小要素であることを明らかにした。近傍の上流-403、-381に存在するGATA結合配列は、-328の配列存在下に、レポーター遺伝子の転写を促進した。さらに、EMSA解析では、赤芽球系特異的転写因子GATA-1とこの領域の特異的な結合が観察された。これらの知見から、赤芽球系前駆細胞におけるAHSPの転写にはGATA-1の作用が必須なことが明らかになった。 2)プリオン感染マウス由来脳乳剤、あるいはPrP^<Sc>持続感染神経細胞株ScN2a存在下にMELhide8細胞を培養し、AHSP等の発現を解析した。しかし、赤芽球系分化誘導時、AHSPをはじめ、α-グロビン、β-グロビン、GATA-1、EKLF、NF-E2などの転写にはいずれも何ら影響が認められず、また、16代継代後にもMELhide8細胞にはPrP^<Sc>の蓄積が全くみられなかった。一方で、MELhide8細胞におけるAHSPプロモーター・レポーター遺伝子の発現、AHSP mRNA発現は、炎症性サイトカイン、特にIL-6の添加で抑制された。これらの結果から、PrP^<Sc>はMELhide8細胞に対する直接作用をもたないこと、また、赤芽球系細胞におけるAHSPの転写が、IL-6など、プリオン病で増加する一部の炎症性サイトカインによって抑制される可能性が示された。 (3)牛末梢血赤血球の細胞質に、AHSPが存在することを明らかにした。これらは、イムノブロットで10kDaと26kDaのポリペプチドが同様のシグナルとして検出される。
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Research Products
(6 results)