2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16209013
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Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
佐藤 昇志 札幌医科大学, 医学部, 教授 (50158937)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鳥越 俊彦 札幌医科大学, 医学部, 助教授 (20301400)
池田 英之 札幌医科大学, 医学部, 講師 (40301494)
一宮 慎吾 札幌医科大学, 医学部, 講師 (30305221)
佐原 弘益 札幌医科大学, 臨海医学研究所, 講師 (10260762)
田村 保明 札幌医科大学, 医学部, 講師 (80322329)
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Keywords | エスケープ / HLAクラスI / β2ミクログロブリン / エピジェネティクス / HDAC / 免疫治療 / mAb / 癌抗原ペプチドワクチン |
Research Abstract |
今年度は以下の点についての成果が得られた。 1)病理パラフィン切片で検出可能な抗HLA重鎖単クローン抗体(mAb)EMR8-5の開発に世界で初めて成功し、その結果、乳癌と前立腺癌でHLA重鎖の発現率が20%以下との驚くべき結果を得た。骨軟部肉腫、口腔癌、腎臓癌は40〜50%、膀胱癌、肺癌、大腸癌は70%程度の発現率であった。3年前より施行中のHLA-A24提示サバイビン2Bペプチドを用いた大腸癌や肺癌の臨床試験で何らかの臨床効果を示した症例はすべてEMR8-5強陽性であった。今後この抗体によるHLAクラスI発現の検索が免疫療法の効率を高める上で必須であることが示された。加えて、EMR8-5mAbによるHLAクラスI分子の発現の有無と予後との関連を多数症例についてカプラン-マイヤー法により検討した。その結合腎癌、膀胱癌、軟部肉腫など様々な腫瘍でクラスI発現症例の予後良好が確認された。 2)更に我々はパラフィン切片で検出可のβ2ミクログロブリン特異的なEMR6 mAbの開発にも成功した。その結果、乳癌ではHLAの発現低下の大部分がβ2ミクログロブリンの発現低下であることが示唆され、しかもその機序がヒストン脱アセチル化(HDAC)によるエピジェネティックな制御機構によることが明らかにされた。加えて、このような乳癌では遺伝子のメチル化に関しては明らかな知見は認めなかった。このことは今後、ペプチド癌免疫治療に併用してHDAC阻害剤使用がより有効なプロトコールになる可能性を示唆した。
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