2006 Fiscal Year Annual Research Report
血清DNasel活性値の一過性上昇は急性心筋梗塞の特異的診断マーカーである
Project/Area Number |
16209023
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
小湊 慶彦 群馬大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (30205512)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中島 たみ子 群馬大学, 大学院・医学系研究科, 助手 (40008561)
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Keywords | DNase I / 膵臓癌細胞QGP1 / 低酸素 / 転写 / 心筋梗塞 / プロモーター |
Research Abstract |
以前、我々は急性心筋梗塞患者において血清中のDNase I活性値が一過性に上昇することを見出し、血清中のDNase I活性値の上昇が急性心筋梗塞の特異的診断マーカーとなることを示した。この血清DNase I活性に基づく急性心筋梗塞の特異的診断方法を確立するために、活性上昇の原因を探ることとした。そのため最初にin vitroの実験系において活性上昇の原因を調べることにした。平成17年度までに得られた結果を下記に列挙する。1)DNASE1を発現する培養細胞を検索し、膵臓癌細胞QGP1において高度のDNase Iの発現があることを発見した。2)QGP1細胞におけるDNASE1遺伝子の転写開始点を調べ、新規の転写開始エキソン1aを発見した。3)QGP1ではエキソン1に比較してエキソン1aからの転写産物量が多いことが分った。4)エキソン1aの上流域にはプロモーター活性があることを見出した。5)エキソン1aのプロモーターにおいては-73から-60の領域に転写因子Sp1が結合し転写の活性化に関わることを見出した。6)QGP1細胞では低酸素状態でDNASE1遺伝子の発現が増強され、それはエキソン1aからの転写産物の増加に基づくことが分った。7)転写産物の増加はプロモーター活性の増強とスプライシングの変化に基づいていた。8)低酸素状態でQGP1細胞内及び培養液中のDNase I活性が上昇した。以上の結果から、低酸素によりQGP1細胞ではDNase I遺伝子の転写が活性化され、細胞内の蛋白量が増加し、細胞外液中のDNase I活性が上昇した、と考えられる。DNase Iは膵臓、胃腸管に多く分布することから、心筋梗塞が発症すると胃腸管への血流分布に障害が生じ、胃腸管の細胞が低酸素状態に陥り、DNase I遺伝子の発現が増強され、血清中のDNase I活性値が上昇すると推測される
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Research Products
(6 results)