2004 Fiscal Year Annual Research Report
慢性心不全でのCa^<2+>制御異常を是正する分子標的療法の開発
Project/Area Number |
16209026
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
|
Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
松崎 益徳 山口大学, 医学部, 教授 (60116754)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
矢野 雅文 山口大学, 医学部附属病院, 講師 (90294628)
池田 安宏 山口大学, 医学部, 寄附講座教員 (00260349)
青木 浩樹 山口大学, 医学部, 客員助教授 (60322244)
木村 佳弘 山口大学, 医学部, 講師 (90301308)
|
Keywords | 慢性心不全 / 拡張型心筋症 / 蛋白ホスファターゼ1 / アデノウイルスベクター / アデノ随伴ウイルスベクター / 心筋症ハムスター / 高効率生体内心筋遺伝子導入 / RyRドメインペプチド |
Research Abstract |
リアノジン受容体(RyR)の2つのドメイン間の構造変化(N末(0-600)とCentral(2000-2500)は筋小胞体からのCa2+放出に密接に関わっていることが心室頻拍を起こす患者の遺伝子解析の結果から示唆されている。我々は、慢性心不全において以上2つのドメイン間の構造変化が心不全におけるCa2+制御異常に関与しているかどうか検討した。 心室頻拍を起こすことが報告されているRyRの変異配列(RyR2460-2495)を筋小胞体(SR)から精製したRyRに混ぜると、2つのドメイン間の構造変化(domain unzipping)がおこり、RyRからのCa^<2+>のリークの原因となった。一方で不全心から抽出した筋小胞体ではRyR変異配列を入れなくても、同じような構造変化がすでに起こっており、それがCa^<2+>リークに関与していると考えられた。したがってRyRの中でN末とCentral domainの2つのドメイン構造は、RyRのチャンネルの特性を決定する重要な因子であり、心不全におけるドメイン構造の異常は病態悪化の重要なステップであることが示唆された。(Oda T et al. Circulation et al、2005 in print) 不全心筋で上昇している蛋白ホスファターゼ1活性(PP1)を補正したときに、心不全の進行が抑制されるかどうか、心筋症ハムスター高効率遺伝子導入モデルを用いて検討した。 心筋症ハムスターでは心不全を発症する28週齢においてSRを含むマイクロソームにおけるPP1catalytic subunitの蛋白発現が亢進しPP1上昇のメカニズムであると示唆された。Inhibitor-2(I-2)は、筋小胞体を含む分画であるマイクロソームでのみ蛋白発現が確認できる内因性PP1特異的阻害蛋白である。すでに心機能が低下し心不全症状が発現している15週齢の心筋症ハムスターに対し心不全ハムスター高効率心筋遺伝子導入でI-2を導入し心機能、心不全の経過を観察した。アデノウイルスI-2導入群では遺伝子導入前に比べ遺伝子導入1週間後、明らかに左心室内径が縮小し、%FSでは経時的な低下が抑制された。すなわちSRマイクロソーム分画における蛋白ホスファターゼ1のI-2による阻害は心不全進行における左室リモデリングを正常化し、左室壁ストレスを有意に低下させた。長期経過では生命予後も改善し、膜分画におけるPP1の阻害は心不全治療の有望なターゲットであることが示唆された。(Yamada et al.投稿中)。
|
Research Products
(5 results)