2006 Fiscal Year Annual Research Report
慢性心不全でのCa^<2+>制御異常を是正する分子標的療法の開発
Project/Area Number |
16209026
|
Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
松崎 益徳 山口大学, 大学院医学系研究科, 教授 (60116754)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
矢野 雅文 山口大学, 医学部附属病院, 講師 (90294628)
池田 安宏 山口大学, 医学部, 助手 (00260349)
青木 浩樹 山口大学, 医学部, 助教授 (60322244)
木村 佳弘 山口大学, 大学院医学系研究科, 助教授 (90301308)
|
Keywords | 遺伝子 / 循環器・高血圧 / 生理学 / トランスレーショナルリサーチ / バイオテクノロジー / 筋小胞体 / カルシウムイオン / 分子標的療法 |
Research Abstract |
我々は不全心における細胞内カルシウム循環の異常に着目し、病態の解析・治療法の解析を行っている。特に、カルシウムイオンの貯蔵庫である筋小胞体(SR)の出口(リアノジン受容体)と入り口(Ca2+ATPポンプとホスホランバン)の機能改善のための分子標的を探索した。 リアノジン受容体(RyR)については、RyR2受容体安定化化合物としてdantroleneを見いだした。RyR蛋白をN末からC末まで500アミノ酸程度のペプチド断片としてリコンビナント蛋白を調整し、dantroleneとの結合実験を行った。その結果RyRのN末側の600番台のアミノ酸で構成されるペプチドに結合することを確認した。Dantroleneは不全心筋細胞のドメイン連関障害を是正することによって、心筋細胞筋小胞体の拡張期カルシウムリークを抑制した。(論文投稿中) また、カルベジロールはβ遮断作用のない低用量でも抗酸化作用によってリアノジン受容体のドメイン連関を安定化し、筋小胞体からのカルシウムイオンのリーク抑制作用があることを発見した(JACC 2007)。 SRでのカルシウムイオンの入り口を制御する蛋白についても分子標的の探索を行った。最終的な標的蛋白の同定にはまだ至らなかったものの、ホスホランバンのリン酸化制御を担う蛋白ホスファターゼ1(PP1)の脱リン酸化調節機構において新しい知見を得た。PP1はSR表面にアダプター蛋白によって局在調節を受けているが、細胞質にある内因性PP1阻害蛋白(Inhibitor-1、Inhibitor-2)によって細胞質とSR膜上でのPP1のシャトリングが起こり、結果的にSR表面での脱リン酸化活性が調節されていることが判明した(論文投稿準備中)。今後、PP1アダプター蛋白を利用したSR蛋白のリン酸化制御が可能になると見込まれ、新たな心不全の分子標的治療戦略として期待される。
|
Research Products
(6 results)