2006 Fiscal Year Annual Research Report
内皮由来過分極因子(EDHF)の意義に関する基礎的・臨床的研究
Project/Area Number |
16209027
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
下川 宏明 東北大学, 大学院医学研究科, 教授 (00235681)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
竹重 公一朗 九州大学, 医学研究院, 教授 (10037450)
内海 英雄 九州大学, 薬学研究院, 教授 (20101694)
赤池 孝章 熊本大学, 医学薬学研究部, 教授 (20231798)
井林 雪郎 九州大学, 医学研究院, 助教授 (40213201)
廣岡 良隆 九州大学, 病院・講師 (90284497)
|
Keywords | 内皮由来過分極因子(EDHF) / 内皮由来弛緩因子 / 過酸化水素 / 内皮型NO合成酵素(eNOS) / NOS欠損マウス / 動脈硬化 |
Research Abstract |
1.我々は、マウス腸間膜動脈において、EDHFの本体が過酸化水素であることを同定し、その主な産生源として、内皮型NO合成酵素(eNOS)が重要であること、また、内皮のCu, Zn-SODがEDHF合成酵素として重要な役割を果たしていることを明らかにした。これらの我々の一連の「EDHF/H2O2説」に関して、その後、それを支持する多くの研究発表が世界中でなされた。EDHFの本体は複数ある可能性があるが、その中でも、H2O2は重要な候補の一つであることが広く支持されてきている。 2.ACE阻害薬のEDHF反応増強作用には、eNOSの発現亢進等を介した内皮由来のH2O2が深く関与していることを明らかにし、我々のEDHF/H2O2説に、さらなる支持根拠を得た。ACE阻害薬の血管保護作用の機序としてこれまで太い血管におけるNO産生の増大が注目されてきたが、微小血管におけるH2O2産生亢進という新たな作用機序が明らかになった。 3.大動物(イヌ)の冠循環の虚血再灌流障害において、血管内皮由来のH2O2が重要な保護的役割を果たしていることを、in vivoで初めて明らかにした。EDHF本体としてのH2O2が生体内で冠循環の自動調節能に重要な役割を果たしていることを以前報告していたが、今回は虚血再灌流障害においても保護的役割を果たしていることを明らかにすることができた。 4.3種類のNO合成酵素を全て欠損するマウスの作製に3年かけて成功した。このマウスでは、動脈硬化の促進、腎性尿崩症、高血圧など多くの異常を認めた。現在このマウスを用いてEDHF反応に関する検討を行っているが、EDHF反応が性差に関わらず消失していることを示す結果を得た。我々のEDHF/H2O2説を究極的に指示する実験結果だと考えている。 5.上記のNO合成酵素完全欠損マウスでは、興味あることに、高血圧・糖尿病・高脂血症・自然発生の心筋梗塞が認められ、ヒトのメタボリック症候群と酷似する病態が生じることが明らかになった。ヒトの病態を解明するのに非常に有用な動物モデルと考えられる。
|
Research Products
(7 results)