2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16209036
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Research Institution | National Institute of Radiological Sciences |
Principal Investigator |
岡安 隆一 独立行政法人放射線医学総合研究所, 宇宙放射線防護プロジェクト, プロジェクトリーダー (50356135)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山田 滋 独立行政法人放射線医学総合研究所, 重粒子医科学センター病院, 医長 (80311380)
安藤 興一 独立行政法人放射線医学総合研究所, 重粒子医科学センター・粒子線治療生物研究グループ, グループリーダー (00159526)
窪田 宣雄 茨城県立医療大学, 保健医療学部, 教授 (20046139)
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Keywords | 放射線増感剤 / HSP90阻害剤 / 17-AAG / 放射線抵抗性 / non-homologous end joining / DNA DSB修復 / DNA-PKcs / アポトーシス |
Research Abstract |
今年度は放射線増感剤のうち、癌特異性があるとされるHSP90阻害剤geldanamycin系薬品の増感作用について詳しく検討した。これ以外にもsiRNAを用いた増感を実験中である。 放射線抵抗性である肺癌細胞SQ-5、前立腺癌細胞DU145においてHsp90阻害剤17-AAGとの併用により放射線増感効果が認められた。この放射線増感効果をもたらす細胞死の一原因としてDNA二重鎖切断修復(DSB)の阻害が両者の細胞とも特に初期の修復(照射後6時間以内)で見られ、DU145細胞はより大きな修復阻害が認められた。さらにDSB修復経路の1つであるnon-homologous end joining(NHEJ)経路への17-AAGの影響をNHEJ機構に関わるタンパクの1つであるDNA-PKcsのリン酸化について調べると、SQ-5細胞において17-AAGの投与によりDNA-PKcsのリン酸化の消失に遅れが観察された。また、17-AAGは細胞周期にも影響を及ぼし、DU145細胞においてG2-M期での停止が観察された。以上から放射線と17-AAGの併用は放射線抵抗性癌に対してDSB修復阻害に起因した放射線増感効果を誘導することが示唆される。 さらに野生型のIGF-IRをHeLa癌細胞に過剰発現させた細胞(HeLa-IGF-IR)では、HeLa細胞に対し放射線抵抗性であることが示されたが、17-AAGを加えると、抵抗性を失って放射線感受性になった。17-AAGにより、HeLa-IGF-IR細胞は成長とspheroid formationが抑制され、アポトーシスや老化様増殖停止が促進され、Hsp90とHsp70発現量が増加した。17-AAGとX線6Gyと併用すると、PARPとIGF-IR発現量は減少し、γ-H2AX、DNA-PKcs、p-ATMのfoci数が減少することを確認した。照射後24時間で、細胞はG2-M期に停止することがわかった。これらの結果より、IGF-IRを過剰発現しているような腫瘍に対し、Hsp90阻害剤は、有効な放射線増感剤になる可能性があることを示唆している。(論文執筆中)
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Research Products
(5 results)