2005 Fiscal Year Annual Research Report
周術期ストレスによる遺伝子発現変化の検索とその臨床応用に関する研究
Project/Area Number |
16209046
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
福田 和彦 京都大学, 医学研究科, 教授 (90199224)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
正田 丈裕 京都大学, 医学研究科, 助手 (60335263)
辻川 洋 京都大学, 医学研究科, 助手 (20362501)
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Keywords | 下垂体 / プロオピオメラノコルチン / リンパ球 / 麻薬 / 遺伝子発現 / 低酸素 / 局所麻酔薬 / 静脈麻酔薬 |
Research Abstract |
前年度に引き続き、下垂体前葉由来培養細胞にプロオピオメラノコルチン(POMC)のプロモーターとluciferase遺伝子を連結したDNAを導入した細胞株を用いて、各種薬物がPOMC発現に及ぼす影響に関して検討した。静脈麻酔薬では、ketamineとthiopentalでは有意な変化はないが、propofolでは発現上昇が認められること、局所麻酔薬lidocaine、mepivacaine、bupivacaineで軽度の発現上昇が認められることが明らかになった。また、カルシウムチャネル括抗薬nifedipineとverapamilでは細胞内cyclic AMPの増加を介してPOMC遺伝子の転写が亢進することが示された。 麻薬による免疫抑制の機序を明らかにすることを目標とし、Tリンパ球にモルヒネを作用させることによりmRNA発現が変化する遺伝子を同定し、その生物学的意義について検討している。現在までに、モルヒネによりアポトーシス関連遺伝子の発現上昇が認められること、p53を介するアポトーシス関連シグナルがオピオイド受容体を介してモルヒネにより誘導されることが明らかになった。さらに、ナロキソン存在下でモルヒネを作用させても発現量が増加する遺伝子があることがわかり、モルヒネがオピオイド受容体以外の経路により細胞応答を引き起こすことが示唆された。これらの知見について、さらに詳細に解析を進める予定である。 遺伝子発現を伴う低酸素応答に関与する転写因子hypoxia-inducible factor 1(HIF-1)の活性に及ぼす薬物の影響を検討し、局所麻酔薬lidocaineとbupivacaine、ならびにオピオイド受容体を活性化する薬物は、遺伝子発現を伴う低酸素応答に有意な影響を及ぼさないことが明らかになった。
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Research Products
(6 results)