2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16209048
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
小川 由英 琉球大学, 医学部, 教授 (50051719)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
諸角 誠人 埼玉医科大学, 総合医療センター, 助教授 (60166460)
内田 厚 琉球大学, 医学部附属病院, 講師 (80245571)
外間 実裕 琉球大学, 医学部, 助手 (20229157)
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Keywords | シュウ酸代謝 / 血中シュウ酸 / オキサローシス / 腎不全 / ビタミンC / グリコール酸 / エリスロポエチン / ビタミンB6 |
Research Abstract |
腎不全患者においてシュウ酸は尿毒症物質であり、臓器および血管にシュウ酸カルシウムとして沈着し、重篤な病態を呈する。全身、特に骨髄にシュウ酸カルシウム結晶が沈着する場合、原発性オキサローシスか続発性かの判断が困難であり、そのために血中シュウ酸とグリコール酸の測定法を確立した。腎不全で血中シュウ酸が何故上昇するか、予防は出来ないか、組織の石灰化に関与するかなどの疑問を解決するために、シュウ酸の前駆物質であるグリコール酸とビタミンCなどとシュウ酸の関係を透析患者において検討した。シュウ酸の前駆物質(グリコール酸、グリオキシル酸、ハイドロキシピルビン酸、ハイドロキシプロリン、アスコルビン酸など)が内因性に代謝され、シュウ酸が過剰産生される。このシュウ酸産生を増幅する病態として、ビタミンB6欠乏(グリオキシル酸解毒酵素AGTとGRHPRの機能不全)があり、腎不全患者は水溶性ビタミン不足で、特にビタミンC(65%以上)とB6は欠乏状態であった。 質量分析計を備えたキャピラリー電気泳動装置にて測定し、シュウ酸、グリコール酸、グリオキシル酸などに関しては、0.5〜1μmol/lの測定限界が得られ、再現性も良好で、安定した測定ができた。腎不全患者452名において、血清シュウ酸と相関するのは、血清クレアチニン、アスコルビン酸、グリコール酸などであった。特に、血清アスコルビン酸が高いと血清シュウ酸が高くなる傾向が強く、ビタミンC大量療法はオキサローシスの原因となりうる。オキサローシスと関連する血中のシュウ酸カルシウムの飽和度は、血清のシュウ酸値が飽和度と最も相関し、過シュウ酸尿症では不安定過飽和状態(シュウ酸>100μmol/l)であることが多い。腎性貧血の透析患者でエリスロポエチンに不応性の場合、ビタミンCを投与するが、静注と経口投与を比較し、ビタミンC100mg/日経口が適切投与量であり、エリスロポエチン投与量を減少しうることを示した。これは臨床的に意義深い結論である。
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Research Products
(31 results)