2006 Fiscal Year Annual Research Report
巨大河川の環境変動が社会環境へ及ぼす影響評価-メコン川流域の場合-
Project/Area Number |
16251001
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
春山 成子 東京大学, 大学院新領域創成科学研究科, 助教授 (10267461)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
漆原 和子 法政大学, 文学部, 教授 (00101329)
堀 和明 名城大学, 理工学部, 講師 (70373074)
大倉 博 防災科学研究所, 防災基板科学技術研究部門, 主任研究員 (20414394)
松本 淳 東京大学, 大学院理学系研究科, 助教授 (80165894)
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Keywords | メコンデルタ / トレンサップ湖 / オールコアボーリング / 環境変動 / 環境動態 / 古環境 / リモートセンシング / 洪水 |
Research Abstract |
2006年度においては、メコンデルタの環境変動に大きくかかわりあうトンレサップ湖の形成並びに湖岸低地の発達の調査・研究を行った。昨年度までに行った研究は、メコンデルタのプノンペン近傍であったので、トンレサップ川の洪水時の洪水上昇にかかわり、どのような地形変化が現れるのかについての検討を深めることに下。 そこで、今回はトンレサップ湖の北部に広がる沖積平野を研究対象地域として選定した。まず、リモートセンシングデータの中でもTM画像並びにJERS 1 SAR画像の画像解析を行い、トンレサップ湖岸低地の微地形分類を行った。この地域では地盤標高のデータが不足しているために、同じく衛星画像から取得できるSRTM画像を分類することで、トンレサップ湖並びにトンレサップ湖岸平野の高度分図を作成し、この図面を元にして湖岸平野の地形断面図を作成して、湖岸低地の地形確認作業を室内で行った。ここで作成した地形計測データをもとにして、空中写真を用いて地形判読を行って作成した湖岸低地の地形分類図からは、高位湖岸段丘、低位湖岸段丘の2面の湖岸段丘を識別できた。さらに、湖岸低地1面が確認でき、この湖岸低地では湖岸流並びに風成の砂丘、砂堆列が形成されていることがわかった。また、トンレサップ湖岸において際立った河川地形を形成し、アンコール王朝時には水の供給をしてきたシュムリアップ川がこの流城に、緩勾配扇状地を形成していることがわかり、扇状地も2面識別できることがわかった。現在は、シュムリアップ川がこの緩勾配扇状地を刻んでおり、下刻がすすんでいることも確認できた。 また、2回の現地調査においては、地形環境の変化を分析するために、上下2面の湖岸段丘構成面において20mのオールコアボーリングを行った。このボーリングコア作業において、湖岸地域において砂層、礫層、シルト層、粘土層などの互層が認められ、きわめてリズミカルな堆積層であることが確認できた。また、この湖岸低地は緩やかに、トンレサップ湖の湖底に地形めんが推移しており、現地調査では音響測深器を用いた湖底地形の実測を行った。湖実測地からみると、湖底には湖棚が認められることも明らか担った。このような調査結果を2007年の日本地理学会において研究発表を行った。また、オーるコアボーリング作業によって採取した土壌サンプルにっいては、現在、粒度分析、pH, CN比を計測し終えて、堆積物の年代を明らかにするためにAMSによる年代測定を行っている。さらに、調査研究のうち、昨年度まで終えた内陸部メコンデルタにおける環境変動についての研究報告を写真測量学会、並びに日本地理学会において論文を投稿している最中である。
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Research Products
(4 results)