2005 Fiscal Year Annual Research Report
バングラデシュにおける砒素除去槽汚泥の固化および自然浄化に関する研究
Project/Area Number |
16254003
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
横田 漠 宮崎大学, 工学部, 教授 (90037888)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田辺 公子 宮崎大学, フロンティア科学実験総合センター, 講師 (00179805)
土手 裕 宮崎大学, 工学部, 助教授 (30264360)
佐藤 努 金沢大学, 自然計測応用研究センター, 助教授 (10313636)
大榮 薫 宮崎大学, 工学部, 助手 (00315350)
宮武 宗利 宮崎大学, 工学部, 助手 (40315354)
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Keywords | バングラデシュ / 地下水砒素汚染 / 砒素除去装置 / 砒素汚泥の処分 |
Research Abstract |
1.研究の目的と方法 我々の開発した砒素除去装置(GSF : Gravel Sand Filter)は、地下水中に高濃度に含まれる鉄分を利用して、砂利槽の砂利間隙中に砒素を鉄とともに沈殿させるものである。本研究の目的は、このGSFから排出される砒素汚泥(鉄と砒素の共沈物)の処分方法を開発することであり、砒素汚泥は現在、砒素汚泥槽で沈殿・貯蔵され、その上澄み液は人工池に放流されている。処分方法はセメント固化と人工池での自然浄化であり、この2年間、現地において同装置の砒素除去性能を確かめながら、砒素汚泥タンクに貯蔵される砒素汚泥の溶出試験とセメントによる固化実験を行っている。また、汚泥タンクの上澄み液が放流されている池底土中の砒素堆積状況の追跡と同土中における砒素を効率よく有機化する細菌の探索を行っている。 2.研究結果と考察 セメント20%添加すれば、汚泥中の砒素は90%以上が汚泥中に閉じ込められ、溶出試験による砒素濃度は0.02〜0.04mg/Lであり、現地の基準をクリアーしている。砒素汚泥槽の上澄み液の砒素濃度は、0.123mg/Lと高濃度であるが、この上澄み液中でも細菌は10^5cells/ml以上生息していた。これは同槽の沈殿汚泥中でも同様であり、還元下(ORP=-200mv)での砒素耐性能のある微生物の活動が確認された。また、人工池では表面水の砒素濃度が0.054mg/L、底部泥からの砒素溶出試験濃度が0.086mg/Lと基準値以上であるが、ここでも、砒素耐性能のある微生物の活動が確認された。この砒素耐性能のある微生物の存在は、1000mg/Lの砒素を含む培養実験によってもかなりの数のコロニーが出現した事実からも認められる。さらに、有機砒素(MMA,DMA)の存在確認は、砒素の微生物による代謝活動をも示唆するものであった。 3.結論 固化処分に関しては、重量比20%のセメントで固化し、ポリバケツなどに貯蔵して地中に埋設しておくなどの処分が可能である、といえる。また、GSFからの排水を砒素汚泥専用のため池で管理すれば、そこでの微生物活動により、自然浄化処理できることが示唆された。これについては今後1年間の実験・分析を通じてさらに明らかにされることだろう。
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Research Products
(6 results)