2004 Fiscal Year Annual Research Report
熱帯の土壌微生物が植物・植食者・捕食者群集の多様性創出とその維持に及ぼす影響
Project/Area Number |
16255002
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
安田 弘法 山形大学, 農学部, 教授 (70202364)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
俵谷 圭太郎 山形大学, 農学部, 助教授 (70179919)
西澤 隆 山形大学, 農学部, 教授 (10208176)
村山 哲也 山形大学, 農学部, 教授 (20230013)
村山 秀樹 山形大学, 農学部, 助教授 (40230015)
豊増 知伸 山形大学, 農学部, 助教授 (60272085)
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Keywords | 生物多様性 / 植物遷移 / 菌根菌 / 植食者 / 捕食者 |
Research Abstract |
今年度は、次の2点を中心に野外実験準備とその実施及び室内予備実駿を実施し、以下の結果を得た。 1.原野の菌根菌の多様性の違いが植物遷移と植食者及び捕食者群集の多様性創出に及ぼす影響 (1)調査地の設定 カリマンタン島、ジャワ島、鶴岡の3地域の原野の土壌に含まれる菌根菌の多様性の違いが侵入植物とその後の植物遷移を通じ、植食者と捕食者群集の多様性創出に及ぼす影響を解明するため、3地域で1haの原野を5m間隔の碁盤日状に区切り、殺菌剤の散布頻度を高、中、低、無散布と4段階に分けて菌根菌の多様性を操作した調査地を設定し、野外調査を開始した。 (2)調査結果 殺菌剤の散布頻度が高いと菌根菌の形成率が低いことが予測され、カリマンタン島では概ね予測された傾向が示されたが、ジャワ島ではそのような傾向は示されなかった。一方、植物の多様性は、カリマンタン島よりジャワ島の方が高い傾向があり、カリマンタン島では殺菌剤の散布頻度が高いと植物の覆度が低く種数が少なくなる傾向があったが、ジャワ島ではそのような傾向は見られなかった。また、植食性と捕食性昆虫の平均種数は、カリマンタン島では、それぞれ約4種と約3種、ジャワ島では、約25種と約22種とジャワ島はカリマンタン島より6倍以上種数が多く多様であった。殺菌剤の散布頻度と2つのグループの昆虫の多様度指数との関係は、散布頻度が高いと多様度が低下する傾向は見られなかった。今回の調査結果は、調査地設定後第1回日の調査であり、2005年10月まで2ヶ月毎に調査を実施する予定である。今後の継続調査により、菌根菌の多様性の違いが植物遷移と植食者及び捕食者群集の多様性創出に及ぼす影響の実態を解明できると思われる。 2.室内での菌根菌の多様性の違いが2種作物の生育及び植食者、捕食者の生存と発育に及ぼす影響 標記項日を明らかにする予備実験として、人工気象器の中で3地域から採集した菌根菌の多様性の異なる土壌でダイズをポット栽培し、順調に生育することを確認した。現在、このダイズで2種のアブラムシとハスモンヨトウ幼虫を飼育中である。今後、菌根菌の多様性などを操作し、それがダイズの生育及び植食者、捕食者の生存と発育に及ぼす影響などを明らかにする予定である。
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