2006 Fiscal Year Annual Research Report
設置型モニタリングシステムを用いたミナミマグロ幼魚の回遊経路の解明
Project/Area Number |
16255010
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
宮下 和士 北海道大学, 北方生物圏フィールド科学センター, 助教授 (70301877)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
綿貫 豊 北海道大学, 大学院水産科学研究院, 助教授 (40192819)
高尾 芳三 (独)水産総合研究センター, 水産工学研究所, 室長(研究職) (00372079)
河邊 玲 長崎大学, 水産学部, 助教授 (80380830)
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Keywords | ミナミマグロ / コード化ピンガー / 回遊 / 年変動 / テレメトリー |
Research Abstract |
平成18年度は、平成17年度の調査結果を中心に解析を実施した。平成17年度調査は、平成16年度同様の調査デザインで音響ステーション70台を設置し、2005年12月1日から2006年5月まで実施した。解析の結果、70台中60台の音響ステーションが回収され、また、放流した81個体中68個体から、5,214回の受信記録を得た。Lumpにおける総受信数は、受信が集中した平成16年度の結果(90.8%)と比べ、大幅に低い値(7.1%)を示した。本結果より、ミナミマグロ幼魚の滞在域は年によって大きく変動することが示唆された。そこで、ミナミマグロ幼魚の分布と海洋環境要因とを比較し、両者の関係について検討した。両年度の海表面水温分布図を比較した結果、平成16年度では、ルーウィンカレントの勢力が強かったことが確認でき、調査海域全体に20℃前後の温かい水が均一的に分布した。一方平成17年度では、ルーウィンカレントの勢力が弱く亜南極域や東部海域からの冷水の浸入の可能性が考えられ、調査海域に暖水・冷水塊が散在的に存在し、複雑な海洋構造を形成していた。また、両年度ともに>50cmの大型1歳魚は、小型1歳魚(≦50cm)よりも沿岸域に出現し、特に平成16年度では、Lump周辺での受信のほとんど(85.4%)は大型1歳魚によるものであった。以上より、夏季、豪州南西海域において、本種幼魚が滞在する海域は、餌となる外洋性魚類を取り巻く海洋環境によって大きく変動することが示唆され、また、体サイズの大小によって棲み分けが行われている可能性も考えられた。
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