2006 Fiscal Year Annual Research Report
スーパクラスタを指向した性能拡張性をもつソフトウェア分散共有記憶方式の研究
Project/Area Number |
16300004
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Research Institution | The University of Electro-Communications |
Principal Investigator |
弓場 敏嗣 電気通信大学, 大学院情報システム学研究科, 教授 (50251723)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
本多 弘樹 電気通信大学, 大学院情報システム学研究科, 助教授 (20199574)
吉瀬 謙二 東京工業大学, 大学院情報理工学研究科, 講師 (50323887)
片桐 孝洋 電気通信大学, 大学院情報システム学研究科, 助手 (40345434)
塚本 享治 東京工科大学, メディア学部, 教授 (90386764)
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Keywords | ソフトウェア分散共有記憶 / クラスタコンピューティング / 性能拡張性 / 並列処理 / データの一貫性制御 / 性能評価 |
Research Abstract |
■研究の目的 スーパクラスタの有用性の向上を狙いとして、性能拡張性をもつソフトウェア分散共有記憶システムをマルチクラスタ上に構築する。効率低下の原因となるプロセッサ間の頻繁な一貫性制御のための通信の発生を抑制し、クラスタ間の通信量を削減する。応用プログラムのデータ配置において、データ参照・書き込みの局所性を考慮する。ソフトウェア分散共有記憶システムにおける通信オーバヘッドを削減し、マルチクラスタにおける性能拡張性の阻害要因を克服する方策を実現する。 ■当該年度の研究実績 平成18年度においては、当該研究グループが開発したホームベース型ソフトウェア分散共有記憶システムMocha Version 0.2を研究素材として用いて、ソフトウェア分散共有記憶システムの性能を評価した。スーパクラスタ向けの高効率ソフトウェア分散共有記憶システムの実現に向けての課題を検討した。主な研究成果は、以下の通りである。 1.通信オーバヘッドを削減する方式として、1つのデータ転送要求に対して、その後に到着が予想されるデータ転送を予測し、先の要求に相乗りさせる<相乗り通信方式>を提案した。データ転送予測機構の組み込みによるオーバヘッドの削減効果について、ベンチマークプログラムを用いて評価した。予測が成功すればテータの通信回数を著しく削減できること、予測の成否は応用プログラムに大きく依存することが解った。 2.ソフトウェア分散共有記憶を利用した共有記憶(DSM)型並列プログラミングの優位性を評価するために、16ノードからなるクラスタ環境でメッセージ受渡し(MPI)型並列プログラミングとの性能比較を行った。従来、同じアルゴリズムを記述したDSMプログラムは、MPIプログラムと比べて少ない台数で台数効果が飽和することが指摘されている。この原因は、一貫性制御のための通信負荷の増大、同期の発生頻度の頻繁さ等に起因することを定量的に明らかにした。 3.応用プログラムの実行過程を、通信の発生事象をベースとして可視化する開発支援ツールSCATを機能拡張した。同ツールの適用により、応用プログラムのもつ性能の隘路を発見し、性能チューニングすることができた。幾つかの事例により、DSMプログラム開発における有用性を確認した。
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Research Products
(8 results)