Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
下村 芳樹 首都大学東京, システムデザイン学部, 教授 (80334332)
太田 順 東京大学, 大学院工学系研究科, 助教授 (50233127)
前田 雄介 横浜国立大学, 大学院・工学研究院, 助教授 (50313036)
杉 正夫 東京大学, 大学院情報理工学系研究科, 研究拠点形成特任助手 (90372408)
上田 隆一 東京大学, 大学院工学系研究科, 助手 (20376502)
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Research Abstract |
本研究は,RoboCup(ロボットサッカー世界大会)で蓄積した歩行制御,自己位置同定の手法をもちいて,一般オフィス内で長期間にわたり安定的に生きながらえ,かつ,探索作業を遂行できる移動ロボットを構築するための研究である.特に,そのためにロボットがどのような状況でどのように振舞うべきかを記述したルックアップテーブル「状態行動地図」を作成し,活用することに重点を置いた.本年度は,各研究要素の実験的検証と性能評価を行うとともに,研究成果の公表を行った. 実験的検証においては,状態行動地図が計算機上で実環境をモデル化した仮想環境で得られることが原因で,実環境の性質を完全に反映できないことが課題であった.そのため,状態行動地図のタスク終了直前の部分に対して浅慮行動の修正法を適用し,評価を行った.評価は,サッカーロボットがボールを確保するというタスクを例題にして行われ,実機実験の結果,タスク成功率が10%向上し,またタスクにかかる時間も短縮できることを確認した.研究成果の公表については,実環境においてロボットが完全に環境の状況を把握できないという問題に対応する手法を投稿論文として公表した.この手法は,環境の状況知覚の不確かさを計算機中で確率的に表現し,状態行動地図から期待値計算を行って,不確かななかでも最良の行動を選択するというものである.実機実験では,RoboCup環境において照明条件を変えることでロボットのカメラで抽出できる情報の不確かさを変化させ,ロボットが不確かさに応じて適切な行動がとれるか評価を行った.結果,例えば自身の位置に対する情報が不確かな場合には,壁に衝突しないように不確かさに応じて距離を変えるなど,ロボットの知的なふるまいが観測できた.上記手法はいずれもRoboCup環境で実験評価されたが,今後は一般的なオフィス環境に適用できると考えられる.
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